世界から否定された魔法の子(2)(修正)
――魔力なくして人にあらず、人でなくして魔法にあらず。魔力さえあれば、人はどんな魔法でも必ず構築できる。
教室に響き渡る教授の声。彼女の語りに合わせるように、魔力で操られたチョークが黒板に文字を描き出していく。ここはウェストム魔法学校、ブランが通う養成学校の魔法歴史学の講義室だった。
階段式の教室で、周りの生徒たちは思い思いの態度をとっている。真剣にノートを取る者もいれば、窓の外に気を取られている者もいる。そんな中でブラン・アルフテッドは教授の話を淡々とノートに書き写しながら、半ば流れるように授業を受けていた。
「魔法使いの象徴とされる伝説的
教授の語るマーリンは、魔法の基盤を作り上げた存在だ。彼の業績は、現在も多くの魔法使いたちに影響を与え続けている。だが、ブランにとってその名は、遠い過去の英雄に過ぎなかった。
「五つの属性魔法を構築できたのは、歴史上彼一人だけだと言われています。まさに
拒絶の対象と対をなすのは、祝福の対象。
魔法から拒絶された者を『
魔力の器によって、魔法の技量は確定する。
器が大きければ大きいほど、より多くの魔力をその身に蓄えることができ、さすれば、上位魔法や高位魔法を構築することも可能にするからだ。
そんな莫大の魔力を内に宿す
一つ目は、莫大な魔力を宿したことで、その本質を極めた者。
二つ目は、本来なら一色しか与えられないはずの魔法の色彩を、複数併存させている者たちであった。
「最も魔法から愛された
与えられた一色の魔法を究極のものへと変化させた者と、複数の魔法の色彩を併存させた異例の者。マーリン・ヴァン・アルフテッドは、歴史においてその二つの特性を世界から与えられたと記されている。
ブランは動かしていた手を止めて、息を吐いた。
ふと時刻を確認すると、長身の針は十四時を指していて、あと二十分もすればこの魔歴学の講義も終わりを迎える。
視線を外へと向けた。
窓に映ったのは、屋上で見たものと変わらない平凡の景色だった。
――…
彼が心の中でそう呟いたのは、それに当てはまる存在の事が思い浮かんだからだ。
彼女との幼少期の記憶が蘇る。明るい笑顔、共に語り合った夢、彼女が見せてくれた最初の魔法――それらは、彼にとって今でもかけがえのない記憶。
だが、時間と共に二人の距離は開いた。彼女は魔法界の中心に近づく一方で、ブランは世界から拒絶され、魔法の周縁へと追いやられた。かつての友情も、今では彼女にとって些細なものになってしまったのかもしれない。
今ではもう遠い存在へとなった存在。
そんな彼女と共に過ごした幼少期の記憶が、次々と脳裏に浮かんでくる。
ブランが思い浮かべるのは、幼馴染であった一人の少女との記憶だった。
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まず初めに、私の拙い文章を読んでくださり、ありがとうございます。
ゆっくりと書いていく予定です。
時々修正加えていくと思います。
誤字脱字があれば教えてください。
白が一番好きな色。
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