君との時間
翌日、私はもう一度だけあの場所へ行ってみた。すると君は今日もそこにいて「今日は何の用?」と聞いてきた。私は「あなたと仲良くなりたくて。」と言った。出会ったときから不思議な雰囲気を纏うこの子のことをもっと知ってみたいと思っていた。仲良くなりたいとそんな事を言った私に対して君は冷めた目で私を見てきた。でも、「まあいいけど。」と言ってくれた。私は嬉しくなって思いつくままに君に質問を投げかけた。名前は?好きなものは?誕生日は?連絡先は?などなど様々だったが君はきちんと答えてくれた。そして全ての質問を私に返してきた。あまりにも真面目に答えてくれたものだから私も嘘はつかず、正直に返した。そうこうしているうちに日は傾きかけていて、門限の時間が迫っていた私は「また明日ね。」とだけ言って慌てて家へと帰った。だから君が「また明日…か。」とつぶやいていたことなど知るはずもなかった。それからの休みはほぼ君と遊んだ。たまに友達の誘いを受けることもあったけど、それ以外は君とずっと一緒にいた。たくさん話して遊んで出かけもした。とても楽しかった。でも、私はふとした時に君が見せる寂しそうなでも嬉しそうな表情が気になった。どうしてそんな顔をしているの?過去に何があったの?何度もそう聞こうと思った。でも聞けなかった。聞いてしまったら君との時間が壊れる気がして。きっと私はこのときには君のことが好きだったんだと思う。会えなくなるのが悲しくて辛くて。だから聞けなかった。でも私はある日君がそんな顔をする理由を知ってしまったんだ。
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