第2話 転校生
◇一ヶ月後◇
「転校生を紹介する。入ってこーい。」
数日前から知らされていた転校生がこのクラスにやってくるらしい。
どこからの情報かは分からないが、赤髪の美少女らしい。
当然の如くクラスの男子はワクワクした眼差しを教師に送っている。
教師にそんな視線を送っても意味は無いと思うけど。
そんな事を思いながら扉の方をボーッと眺めていると、ガラガラガラという扉を開ける音と共に転校生らしき人が入ってきた。
赤い髪の、身長はおそらく170cm前後のイケメン系の美少女が黒板の前に来る。
「はじめまして皆さん。今日からこの学校で一緒に学ぶ事になった
クラスのみんなが想像していた通りであろう中、低音系の落ち着いた声。
そして最後にニコッというはにかみサービス付き。
間違いない。
この子はモテる。
1ヶ月前から見始めたアニメの登場キャラにそっくりだから。
そして誰も近寄らせないオーラを漂わせた通称雪女の雪を徐々に溶かしていって、最終的に付き合うやつ。
友達曰く、こういう展開を
「空いてる席は2つか。夜月と
今空いている席は
「ふぇっ!?ワタシですか!?」
「嫌か?嫌なら夜月の近くの席にするが………」
「あ、でも転校生とお近付きにはなりたいというか………あっ。」
うっかり本音が漏れたらしい。
とはいえ別に私は転校生に近づきたいとは思っていないから瑞柳さんに譲ろう。
「私は─────」
「夜月さんの近くがいいです。」
「………はい?」
「夜月さんの後ろの席がいいです。」
私が瑞柳さんの近くの席を勧めようとしたと同時に転校生、東爛さんが私の後ろの席がいいと言ってきた。
何かを企んでるような悪い笑みを浮かべながら。
「東爛が望むなら………夜月、瑞柳。いいな?」
「私は構いませんけど………」
「え、あ、はい。大丈夫、です………」
呆然としている瑞柳さんを他所に、東爛さんが後ろの席に座る。
「夜月さん。よろしくね。」
「あ、うん。よろしく。」
隣の人も居るだろうに、私にだけ挨拶をしてきた。
考えてる事がよく分からない人だ。
「分からない事があったら近くのやつに聞くといい。それじゃあホームルームを始めるぞ」
◇放課後◇
結局あれから話しかけられる事はなかった。
クラスのみんなが質問攻めをしていたから話す暇がなかった、と言った方が正しいか。
これから私は家に帰って即、睡眠を摂る。
深夜、すめしさんとゲームをするからだ。
それの為に、大体の友人からの遊びの誘いは断っている。
だが───
「夜月さんの家入っていい?」
という、初対面のはずなのに家に入れて欲しいというだいぶ踏み込んだ要求をしてきた。
「えぇ………?」
なので、断るより先に混乱がきてしまったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます