第3話 初めてのお泊まり会

「夜月さんの家に入っていい?」

「えぇ……?」

「どうせ家に帰っても寝てるでしょ?変な事しないからさ。」


確かに家に帰ったら寝るし、泥棒しても犯人すぐ分かっちゃうからやらないだろうし………

特に悪い事はないし、いっか。

しかもなんか、東爛さんからは馴染みのある雰囲気が感じれて落ち着くんだよね。


「いいよ。」

「え、ありがとう。……………ヤバい、想像の5倍無防備だわ………(ボソッ…)」

「何か言った?」

「ううん。特に。」


それより、自分の部屋ちょっと散らかってた気がする。

一人暮らししてるから親が居なくて楽なんだけど、同時に家事をしてくれる人が居なくて大変なんだよね………


「ちょっと散らかってるかもだけど気にしないでね。」

「あ大丈夫大丈夫。多分私の部屋の方が汚いから。」






◇陽依side◇






一旦荷物を取りに帰ると言って帰ってきた。

はいここが我が家です。

私は一人暮らしじゃないから父母と妹とで暮らしてる。

さて、ここで私の長期的な目標を発表しておこう。

それはフブキ、もとい夜月雪を堕とすと言うもの。

だった。

だが今日リアルで会って変わった。


「なんとしても夜月雪に近づくやつを排除する、または自衛能力を磨いてもらう!」


自衛能力というより危機管理能力的なやつね。

初対面の人が「家に入っていい?」とか言ってきたら怖いだろ普通!

私も分かってたよ?分かってた。

怖がるかなーって思ってた。

でも相手を知るには踏み込まなきゃいけないじゃん?

だから大分踏み込んだの。

そしたらそこも許容範囲らしいじゃん?

流石にこの子を1人にするのは危険すぎるだろぉ!!!

てことで学校内ではできるだけ離れないようにしよう。

放課後も定期的に放課後デートしよう。

あ、でも私の為に早く寝てくれてるんだった。

なら定期的にお泊まり会だね。

多分あの子なら許可してくれる。

だって許容範囲モンスターだもん。






◇夜月side◇






「まって今気づいた。人生で初めてのお泊まり会だ。」


東爛さんが荷物を取りに行っている間、私は客人を招けるように準備していた。

流石に下着を出しっぱなしにしてるのは私が恥ずかしい。

そして片付けをしている時、ふと気がついてしまった。


私はお泊まり会というものを経験した事がない。


というのも、誘われた事は何度かある。

だが小学生の頃の私は、とある塾に通っていた事もあり、友人と予定の合う日があまりなかった。

予定が合った日でも、その日に限って熱を出したりしていた。


「そもそも私の家に入った人が少なすぎる………誰かを入れた事ないし………変な匂いとかしてないよね………?」


初めての事だと今更気づき、急に緊張し始めた雪。

そしてそんな自分と重なる記憶が1つ。

今期の恋愛アニメだ。


「ッ」


それに気づいたと同時に、インターホンの音が耳に届いた。

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