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まあ、恋愛というのは信用の有無や大人の事情が先立つとなかなか発展しない面もあるから、ここは黙って眺めておくのが、親心ならぬ霊心というところか。
ということで”二回戦”の日程が決まったらしい。
今度は観光も兼ねて泊りがけでやって来るらしく、宿泊料の一部を貸して欲しいのだとか。
紗和は、田舎のフリーターだから大して稼げていないらしい。
それなら身のほどを知って、金がないならないなりに泊まろうとしなければ良いと僕はこぼしたのだが、相変わらず黙殺された。
多良さんは、さらに寛容でゆとりある大人の男として売り込むチャンスだと、また自己暗示をかけている。
YouTubeのドラマ動画見ながら、ご都合主義のストーリーは萎えると彼は言っていたのに、これもまた両者いい勝負である。
今度はディナーとなったが、やはり多良さん持ち。
それは別に良いのだが、紗和が泊まる高級ホテルの前で数万の金を渡して、それでこの日はすんなり解散。
翌日は多良さんが仕事で、彼女も自分の趣味で一人で行ってみたいところがあるということなので、おやすみのラインを交換して、そこまでだった。
次、三回目に会ったときその金を返すという約束だったが、次いつ会おうかという話になるその前に、紗和の母親が持病を悪くして緊急入院したらしい。
多良さんはびっくりして、彼女をいたわり励ますようなラインをしきりに送っていたけど、僕はそう来たか、と思わず天を仰いだよ。
で、やはり彼女はその入院費用等で三十万ほど振り込んで欲しいと多良さんにラインを入れてきた。
常習犯は、そうやって要求の難度を容易なものから、徐々に吊り上げていくのだ。
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