第15話 証言者Ⅲ
証言3 人骨の発見者
私は間島さんたちがあのお家に住み始めたときから斜め向かいに住んでいたので、奥さんがお元気な時は特に仲良くさせてもらってました。お庭の手入れの方法や、お野菜の育て方なども一緒に教えてあげていました。奥さんは専業主婦で、基本的には家にいてよく退屈だと愚痴をこぼしていました。育てた野菜が初めて収穫できた時は家に持ってきてくれて…。そんな風に仲良くしていたし、家同士で行き来があったものですからどうもお父さんと元人くんが心配で。旦那さんもよくうちの人とランニングをしたり、釣りに行ったりしていました。
でも奥さんが亡くなってからは、旦那さんはまったく近所付き合いをしなくなって。それが心配で時々夕飯の差入れとかで家を訪ねてたました。はじめは旦那さんが出てくることもあったんですが次第に元人くんしか出てこなくなって、聞くと父は仕事で…としか言わなくなりました。余計に心配だったので週に二回くらいは訪ねるようにしていました。はじめは面倒くさそうでしたけどきちんと仕事についてからは晩御飯のおかずを嬉しそうに受け取ってくれました。きっとご飯を作るのも大変だったんだと思います。施設に勤めだして三か月くらいで旦那さんが事故を起こして…でも元人くんは頑張って仕事を続けていました。
あの日もいつもみたいに食べ物を渡しに訪ねました。ふと昔に奥さんと私が植えた花が綺麗に咲いているなあと目に留まって。そうしたら花以外の野菜も今どうなってるのか気になって気になって、元人くんは私がお庭を触るのを咎めたり嫌がることはなかったので、倉庫に在ったシャベルを持ってきて昔野菜を植えた一帯を掘り返したんです。掘り進めると、なにか鼻に着く匂いがしてどんどん匂いが濃くなりました。 するとシャベルの先に硬いものが当たって、野菜の根だと思ったので掘り起こしました。すると大きな骨がいくつも出てきました。それでそのまま通報したんです。元人くんは二階で寝ていたみたいで、警察官の声で目が覚めたと言っていました。元人くんは元気にやっているんですか?病院へ入院して、看護師の方と結婚したとか。
私はこっそり喜んでいましたよ。元人くんもつらい青春時代を過ごしていましたし、亡くなった男の子達も可哀そうではありましたけど、私はずっと見てきた元人くんがあんなひどいことをできるとは思えませんでした。あんなことをしてしまったのは元人くんを愛してあげなかった旦那さんや気に掛けてあげなかった周りの大人のせいだと思っています。
大人が支えてあげないと子供は歩くこともできないですからね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます