第17話

 「我らが主様、報告します。どうやらエンジョウ家が戦の支度を始めたようです。部下より報告がありました。」


 「予想される兵数は約4000、近接兵士だけでなく、弓兵や攻城兵器まで用意していると報告がありました。」


 教会の会議室にて、緊急幹部会が開かれていた。

参加者一覧

"教祖"エンド

"開拓局長"クダル

"財務局長"アイシャ

"自警局長"シン

"布教局長"リラ

"諜報防諜局長"スパイン

"教育保育局長"ハンナ


 スパインは元々ただの農民だったが、エンドにより「なんか、ぽいですね」と名前だけで抜擢された。


 ちなみに、スパイン(spine)は日本語で背骨という意味であり、スパイ(spy)とは全く関係がない。エンドは何でも知っているわけではないのだ。


 しかし、エンドが、しかも直接任命した事に意味がある。想像して欲しい。工場勤務していたら、急に会長が来て、「明日から君エリア長ね」と言われるようなものだ。


 このスパインは頑張った。辛く辛く、険しい道だった。でも期待に応えようと頑張った。何度も諦めようと思った。その度に教会に行き、祈った。


 そして頑張って頑張ってとにかく頑張った。その結果、とてつもない成長を遂げたのだ。


 役割が人を育てるとは言ったものだ。


 ちなみにハンナも15歳の成人を迎えた為、参加となっている。教育はアイシャとエンドが中心となって教科書を作り、今後それを活用予定だ。リラが中心となって作っている経典も活用される手筈となっている。


 王国では、基本的に貴族と裕福な商人の子供しか学ぶ機会は無い。しかし、盾の教団では全ての者に学ぶ権利を与える予定なのだ。なぜなら、それが皆を豊かにすると知っているから。


 「とうとう気づかれてしまいましたか。これだけ人が動けば当然ですけどね。」

 

 エンドは冷静だった。前々から予想はしていたからだ。


 「…全員切る。」


 静かにシンは呟く。


 「シンさん、それはいけません。兵士達は罪人ではありません。敵でもありません。我々と同じ被害者なのです。敵は一握り、彼らを支配する者達です。」 


 「でもよ、こっちより敵の方が多いがどうするんだ?流石に抑えきれないと思うが。」


 「エンド様、今回ばかりは厳しくないか?」


 クダルとアイシャは疑問を投げかける。


 「我らが主に不可能はありません。」


 「兄貴は最強っす!」


 リラとハンナは盲信する。


 「クダルさん、アイシャさんの言う通りです。なので、私が出ます。住民の避難も必要ありません。ただシンさん、自警局員は防衛に回ってください。」


 

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