第12話

 アイシャの手助け(というかほぼアイシャがやった)のおかげで、エンドば無事、組織図を作り上げた。幼い子供達は親とセットにしたり、親のいない子供は保育所の括りを作り、その中とした。


 この集団のトップはエンド、そして幹部として3名アイシャ、クダル、シンが続く。


 ハンナは、子供達に大層懐かれた為、保育所の管理者となった。本人も肌に合っているようで、不満は無かったとか。


 エンドの堂々とした振る舞いを見て、ハンナは、自分も何かしなきゃと、自己啓発本を読んだ後のような精神状態になっていたのだ。


 末端と幹部を繋ぐ、中間管理は元々慣れていた、アイシャファミリーが担う事となった。


 こうして、アイシャファミリー改め、エンドファミリーが始まるかに思えたが。


 「ちょっと、エンドファミリーは違う気がします。一般の恵まれてない人達も入りやすい名前というか、集まりにしたいんですよね。名は体を表すとも言いますし。」


 「…名前が悪いと。」


 エンドの話にシンが反応する。


 「皆さんがファミリーを名乗って居たのは、この街だと割と有名でファミリーだとなんか入りにくいんですよね。私が入らなかったように。」


 「…なるほど。…敷居は高い。」


 ここにアイシャも加わる。


 「エンド様はどんな集まりを作りたいんだ?アタシは家族のような信頼できる人達の集まりにしたくてファミリーって名乗っていたんだが。」


 「その話を聞くとファミリーも悪くないですね。ただ、私はもっと壮大な事をしなければいけないと思うんですよね。大いなる力には、大いなる責任が伴うとも言いますし。魔法を授かったからには、人の為に使わないといけないなと。」


 「エンドは国でも起こすのか?」

 

 クダルも疑問を投げかける。


 「それです。良いですね。その方向でいきましょう。良い名前はないですかね?」


 エンドは即決する。そして、次の議題へと移る。


 「エンド様を讃える会とかはどうかな?エンド様の素晴らしさを広めるべきだと思う。」


 アイシャは真面目な顔をしてそう言った。


 「確かに、悪くねえ。」

 「…良い。」


 クダルもシンも真面目な顔をしてそう言った。


 「皆さん、ふざけてないで、真面目に…」


 「真面目だよ、アタシはエンド様に救われた。」


 アイシャは真剣な顔をして答え、クダルとシンも頷いた。


 「…いや、何というか、真面目なのはわかったんですけど、ちょっとこう、宗教チックなのはどうなのかなと…」


 「宗教って良いもんだろ?オレも昔は教会に通ってたぜ。心の支えが必要な時期があってよ。まぁ、金はふんだくられたがな。」


 クダルは話続ける。


 「心の支えがあると人は頑張れるんだ。だから、新しく宗教作っちまえば良いんじゃねえか?そうすれば、皆の心の支えになれるぜ。それに、神に魔法を授けられたって事はそういう事じゃねえのか?」


 エンドは思った。確かにと。民の為の良い宗教があっても良いのではないかと。教養や道徳心を育む事も出来るのではないか?と。

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