第11話
エンドはスラムを完全に掌握した。配下は、元ボスのアイシャ、元幹部のクダル、シン、共に行動をしていたハンナに加え、130人ほどだ。
エンドは人数を数えて思った。このままでは、内部崩壊してしまうと。組織がまとめきれないと。
そこで、アイシャに相談する事にした。先日の一件で妙に距離感が近い気がするが。
「エンド様!何か用か?!」
そう言ってアイシャは、部屋に飛び込んできた。エンドは冷静を装い話しかけた。呼ぶ前に来た不思議は考えないでおくが。
「相談ですが、この集団も総勢130人を超えました。このままでは、組織がまとめきれないと思うので知恵をお借りしたいのですが。」
アイシャは真剣な表情で、頭を働かせる。
「そうだな…このままだと指揮系統がぐちゃぐちゃで会話の線も膨大だから、崩壊するかもしれない。掟も無いから問題起こしそうだ。」
「質問ですが、会話の線が膨大とはどういう事ですか?」
アイシャは得意げな顔をして話を続けた。
「おっとすまないね。例えば、話す相手がアタシとエンド様だけなら、この線だけで済むだろ?この場合は1本だ。」
アタシ➖エンド様
エンドは頷く。
「これが、エンド様とアタシとクダルだった場合、この線が必要になる。この場合は3本だ。」
エンド様➖アタシ
アタシ➖クダル
クダル➖エンド様
エンドは納得しながら頷く。
「これにシンが加わると、この線が必要になるから、6本だ。」
エンド様➖アタシ
エンド様➖クダル
エンド様➖シン
アタシ➖クダル
アタシ➖シン
クダル➖シン
「こんな風に、"線= 人数× ( 人数- 1 ) ÷ 2"で計算できる。今130人なら、8,385本だな。」
「…アイシャは凄いですね。私は生きててそんな情報に触れなかったですけど、どこで習いました?」
アイシャは照れくさそうに答える。
「みんなには言って無いが、アタシ、元々商店の娘でな、それで計算とか色々親から習ったんだ。その後、色々あってファミリーを立ち上げたんだけどさ。」
アイシャは、懐かしむように語り続ける。
「最初は良かったんだけどよ、人が増えるにつれて、問題が増えてきてな。それで話が伝わってない事が多くて、何でかって考えたら、この線に気づいたんだ。そこからこの線を減らすように集まりを作って中継点を作ったりして、工夫したら上手くいくようになったんだよ。」
「アイシャって天才です?ぶっちゃけますけど、これは普通の人には出来ない事ですよ。」
アイシャはエンドに褒められてニマニマしている。
「つまり、コミュニケーションの線を意識して、組織図を作り上げるって事ですね、ちょっと自信無いので一緒に作ってください。」
アイシャはノリノリで手伝った。
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