第7話

 「エンド!これが拠点だ!」


 クダルの案内でファミリーの拠点にたどり着いたエンド一行。総勢は、80人に及ぶ。


 「クダルさん、案内ありがとうございました。さて、そちらにいらっしゃるのがファミリーのトップの方でお間違い無いですか?」


 エンドは落ち着いた声で呼びかける。


 「てめぇら!何しに来やがった?」


 アイシャは声を張り上げる。その周りには50人ほど取り巻きが集まっている。


 「大した事は無いですよ。ただ皆さん結構このスラムで好き勝手過ごされていましたので、そろそろお灸を据えようかと思いましてね。簡単に言えば、私の傘下に加えようかと。」


 エンドは淡々と返す。そしてアイシャは怒りをあらわにした。


 「何を馬鹿な事を言ってんだお前は!そして、クダル!お前もどういうつもりだ!アタシたちを裏切ったのか?」


 クダルは腕を組んで落ち着いた声で答える。


 「ボス、俺は強い奴の下につく。こいつは俺より強え。ただ、ファミリーを見限ったわけじゃねぇ。ボスもこいつと同じ魔法使いだからな。より強い方に従うつもりだ。」


 周りがざわつく。アイシャが魔法を使える事を知るものは少ない。エンドもここに来て初めて知った。


 「なるほどなるほど…クダルさんが従っていた理由がわからなかったですが、納得しました。アイシャさんも私と同じ境遇なんですね。」


 アイシャは冷や汗をかきながら話を変えた。


 「お、お前も魔法使いだったとはな、少し驚いた。ただ、ここはアタシの縄張りだ。郷に入ったら郷に従ってもらう。被害が出るのはアタシも望まねえ。タイマンだ。」


 「ルールはただ一つ。ここでは、強いやつが偉い。つまり、勝ったやつが偉い。負けたら大人しく従う事だ。アタシを、アタシたちを従わせたければ、お前がタイマンで力を示しな。行け!シン!」


 「…」


 「こいつに勝てれば、アタシが直々に相手をしてやる。エンドとやら、降参するなら今のうちだぞ?」


 アイシャは心の中で、祈りながら呼びかける。頼む、降参してくれと。


 「分かりました。クダルさんに聞いていた通りですね。分かりやすくて有難いです。もちろん、降参はしませんよ。」


 エンドは自らに着いてきた人だけでなく、アイシャファミリーの面々にも向かって話しかけた。


 「皆さん、私は神に力と使命を与えられました。私の力を眼に焼き付けてください。誰に従うべきか、分かるはずです。」


 エンドとシンは中央で向き合った。


 「審判は俺、クダルが務める。ファミリーの掟に乗っ取り、タイマンを行う。殺しは禁止じゃねえが、死ぬ前に降参は推奨する。では、両者準備は良いか?」


 130人もの観衆が見守る中、シンとエンドは準備を終えた。


「では、はじめ!」


 "盾よ"


 エンドは盾を構え、シンは剣を構えた。


 アイシャは祈った。


 

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