第3話

 「ここは…どこでしょうか?」


 エンドは、真っ白な空間の中に居た。


 「ほう、そなたが後継者か。」


 老人が1人でエンドに話しかけて来た。


 「…なるほど、夢の中のようなものですかね。ところで、貴方は誰でしょうか?後継者とは何でしょうか?」


 「自己紹介がまだじゃったの。わしは…神みたいな者じゃ。」


 老人は話を続ける。


 「そなたは、魔法を知っておるか?貴族がたまに使っておるが、市民はなかなか見る機会がないからの…簡単に言えば、そなたはわしの魔法の後継者じゃ。盾の魔法、盾を作る魔法の後継者じゃ。」


 老人はエンドの目を見つめながら話続ける。


 「とにかく魔法は想像力が大事じゃ。あまり言い過ぎて固定観念に囚われても良くないから具体的な事は教えんが、何か気になる事はあるかの?」


 エンドは顎に手を当てていくつか尋ねた。


 「そうですね…ちょっと頭の整理がついてないですが、なんとなく理解しました。ただ盾を作る魔法という事で既に思考が縛られてしまいそうですね。では、一つだけ質問を、なぜ私なんでしょうか?」


 エンドは思った。なぜ自分なのかと。ただ、これは夢だから自分の願望なのかなとも思った。


 「それは…盾の魔法の血縁者がそなたしか生き残って無いからじゃ。王は、タテ家一族を消し去る事に決めての、把握されとった者達は皆、わしの後ろに居る。みんな死んでしまったんじゃ。」


 老人の後ろには生まれたばかりの子供から老人まで数十人が並んでいた。皆真剣な表情をしている。


 「わしは、代わりに復讐して欲しいとか、何か代わりに成し遂げて欲しいとかは望んではおらん。ただ、盾の魔法をそなたに託す。そなたの思うがままに使って、次に繋いで欲しいだけなのじゃ。」


 老人は真剣な眼差しでエンドを見つめ、手を取った。


 「承知しました。盾の魔法は私が引き継ぎ、次の世代に繋ぐ事はお任せ下さい。」


 「そう言ってくれて安心じゃ。これでわし達はもう未練はない。ありがとう。」


 そう言い残して、笑みを浮かべながら老人達は消えていった。真っ白な空間にはエンド1人が残った。


 「なんとも不思議な夢ですね。こういう夢を明晰夢というんでしたっけ?いったいいつになったら目覚めるのでしょう?目覚めるまでは、盾の魔法とやらを調べて見ますかね。どうせ夢の中の出来事でしょうし、せっかくだから楽しみましょうか。」


 エンドはその後ひたすら盾の魔法の検証を行った。夢の中という状況と二度目の人生というのも相まって魔法というものを、そういうものだ、と理解出来ていた。そして先代達の思い付かなかった使い方も出来るようになった。


 そんな時、空間の崩壊が始まった。


 兄貴ー!兄貴ー!


 「ハンナかな?やれやれ、そろそろ目覚めの時間ですかね。それにしても不思議な夢でした。」

 

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