第6話家族でキャンプ

5月のGWは、仕事だったが有休を取り家族でキャンプ場に出かけた。

近くには川があり、山もある。

息子は久々の魚釣りを楽しんでいた。もっと喜んだのは嫁さん。

川だが、ニジマスを放流しているのでニジマスが入れ食い状態。

嫁さんはキャッキャ騒いでいた。釣れた魚を針から外すのは、パパのお仕事。

息子は自分で外す。


さて、いよいよ夕方になると炭をおこして肉や野菜を焼き、パパがニジマスの下処理をしてクシを打ち、炭火の周りに化粧塩を施したニジマスの串を10本ほど刺して焼いた。

クーラーボックスには酒とジュースがたっぷり。

家族3人でバーベキューを楽しんだ。缶ビールを次々と飲み干す夫婦。

嫁さんも酒は強いのだ。

ニジマスの塩焼きに息子はかぶりついた。

「パパ、この魚めちゃくちゃ美味しいね」

「だろ?その大きいニジマスはパパが釣ったんだ」

「違うよ、僕だよパパ」

「いいや、パパ」

「僕」

「もう、2人とも小さな子供じゃ無いんだから。その一番大きいのは、ママが釣ったのよ」

3人は笑いながら、食べていた。


肉はちょっと奮発して、スギモトで買った。

肉のスギモトは名古屋では有名だ。

牛脂をパパは食べた。

「パパ、それ食べたらお腹壊すよ!」

「大丈夫。免疫があるから。お前も食うか?美味しいぞ!」

「少しだけ」

息子は牛脂を食べて、満足気に笑いながらカルピスソーダを飲んでいた。

ママが、

「あなた、そろそろこれ飲む?」

と、クーラーボックスからワインを取り出した。安物の赤ワインを。

2人して、紙コップにワインを注ぎママが飲む。

「美味しい。今日はキャンプだから、飲まなきゃ眠れ無いし」

「シャワー室あったよ」

「寝る前に入る」

「そう。おい、お前は腹いっぱいになったら、シャワー浴びてこい」

「パパは?」

「パパはまだ酒と闘わなくては」

と、言ってトングで肉を掴んだ。後、ピーマンも。

夜、ランタンに火をつけた。

火をつけたと言うより、電池式の安いヤツ。

「あなた、聞いてよ。うちの課長、身体がめちゃくちゃ臭いのよ。スメハラって言うのね。お風呂ちゃんと入ってるのかしら。面倒くさい仕事は、金曜日の午後に持ってくるし。もう、会社辞めようかな?どう思う?」

と、顔が幾分赤い嫁さんは愚痴った。

「辞めても良いよ。オレが頑張るから。気が向いたら、好きなパートでもすれば良いし」

「そうしようかな。来年の3月には会社辞めるわ。22年働いたから。うちの会社で。退職金も結構あるし」

「ウンウン、お疲れ様。退職日は良いもん食いに行こうや」

息子はシャワーから帰り、スマホをいじってある。ニジマスを4尾食べた。

「ママ、会社辞めるの?」

「うん。今の会社はね。落ち着いたら、パートするよ。」

「ママは頑張った。オレはこれからは、あまり飲み過ぎ無いようにする」

と、言いながらブラックニッカでハイボールを作り、がぶ飲みした。

「パパ、無理だね。お酒飲まなきゃパパじゃ無いんだから」

「そうよ、あなた。今まで通り飲んでも良いのよ。だって、サビ管なんてストレス溜まるでしょ?若い子ら面倒も見ないといけないし。あの課長どうなったの?以前、あなたの会社のバーベキューで女の子にちょっかい出していたオヤジ」

と言いながら嫁さんもハイボールを飲んでいる。

「あぁ〜、有馬ね。アイツ、セクハラで豊川に飛ばされて、先月退職したよ。豊川でもセクハラしたんだって!馬鹿だよ」

パパは笑いながら言った。

「天罰ね」

「そう思う。もう、10時だ。明日は9時にはここを出るから、そろそろ片付けて、シャワーを浴びよう。その後は、これで1杯どうだい?ママ」

と、パパは密林で注文した「オツマミセット」を見せた。

蓋を開けると、日本三大珍味が詰められていた。

カラスミ、このわた、ウニ。


手際よく片付けて、パパとママはシャワーを浴びに行く。男女別れてシャワーを浴びて、二次会を始めた。

息子は三大珍味の美味しさを理解できないでポテチを食べていた。

夫婦でランタンの明かりだけで、日本酒を飲んでいた。

「なぁ、ママ。オレのお嫁さんになってくれてありがとう。感謝してます」

「うん。パパありがとうね。こちらこそ。私、トリマーやってみたいの」

「何故にトリマー?」

「うちのマンションは、ペット禁止でしょ?小さい頃から動物が好きだったの。私、高卒の馬鹿だけど勉強して、トリマーになりたい」

と、日本酒をカッコよく呷る。

「ママは馬鹿じゃないよ。トリマー頑張れよ」

「パパ、一つだけ。人間ドックには必ず行ってね。あなた最近、尿酸値とガンマGTPの数値が高いから心配なのよ」

「分かった。サボらず受けるよ」

「もう、12時だ。寝よう」

「うん」


GWはたっぷり家族サービスした、水沢パパであった。途中、サービスエリアのトイレで水の如く便が出た事を記しておく。

残りの休日は、それぞれ別行動だった。

年末年始は水沢パパのふる里、九州旅行だ。

今の水沢の活躍の陰には、家族の温かい目があるからだ。そう、感じていた。

夜、電話があった。

同期の三嶋からだった。辞令が出たらしい。何と、彼は課長になったらしい。

話しを聞くために、翌日出勤の帰りに飲むことになった。

この人たちは、喫茶店代わりに居酒屋へ行き、コーヒー代わりにビールを飲むのだ。

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