第2話有馬課長の罪と罰

安田が一柳にSOSを発令した。

どういった内容なのか?

詳しく聞くと、有馬課長が酔っ払いセクハラしてきたらしい。

水沢は一人で彼らの飲む居酒屋に乗り込んだ。

他の連中は茶園先生と、割烹料理屋早水へ向かった。

安田は居酒屋千代で飲んでいた。

有馬課長が臭い息を耳に吹く姿を確認した、水沢は有馬課長を店外に引き摺り、

「お前、何してんのか、分かっているのか?」

「……水沢、オレは課長だぞ。その生意気な発言してると、人事に申し込んで僻地行きだぞ!」


セイッ!


グワッ!


水沢は有馬の股間を蹴り上げた。

「お前の罪は茶園先生にも伝えておく。僻地へ飛ぶのはお前だよ!」

「……ぐぅっ」


「安田さん、こっちへ来なさい。飲み直そうよ」

「はい」


支払いは有馬がする。


2人で早水へ向かった。

皆んな、4月だと言うのに焼酎のお湯割りを飲んでいた。

キツいヤツは、レモンを入れたり、梅干しを入れたり。


「どうだった、水沢ちゃん」

「先生聞いてくださいよ。安田さんにセクハラの限りを働いていましたよ」

「あいつ、来月、豊川に島流しだな。僕は理事だから、理事長にそうするように伝えておく。安田さん、ゴメンね。もう、しばらく我慢して。明日からあいつは、出勤停止処分にするから」

と、茶園先生はお湯割りをちびちびやりながら話した。

安田は安心したのか、焼酎を飲みだした。


深夜の1時まで飲んだ。

水沢は、若い沖山や尾形に何やら語り始めた。

沖山、尾形は爆笑していた。


間もなく解散。茶園先生が支払った。さすがに理事で医者。


翌朝6時に、水沢と新見は早出で出勤した。2人ともまだ、酒臭いのでマスクをしていた。

「おはよう、新見ちゃん」

「あっ、おはようございます」

「昨日は面白かったですね?」

「何が?」

「水沢さんの話し」

「そんな、話しした?」

「しましたよ。若い子ら大爆笑でしたよ」

「……覚えていない。記憶にございません」


そうやって、朝の移乗や朝食の準備をすると、日勤帯のヤツラが続々と出勤してきた。


朝の9時。

夜勤者からの引き継ぎと、ミーティングが行われた。

「これは、個人的なことですが、有馬課長は豊川支店に異動になります。今日からお休みです。理事長からの指示です」


知らない職員は、不思議な顔をしていたが、夕方には有馬がセクハラで飛ばされたと知る事になる。

15時。

早出の水沢と新見は退勤。

水沢は新見を夕食に誘った。水沢は、かなりの高給取りなので、家族が飲みに行く事を咎めたりはしない。

子供は高校生だ。嫁さんは、働いている。

だから、普段は優しいパパ、旦那で、飲む事とタバコ以外には興味が無いので黙認されていた。

通勤もバスだ。


水沢は新見を、おでんの大番に連れて行った。

豚足の煮込みがめちゃくちゃ美味しい。

新見はまだ、独身だ。

実家暮らし。毎月、親にお金は渡しているそうだが。

2人して、ビールを飲んだ。

だが、昨夜飲み過ぎたので瓶ビール3本で帰宅した。


「パパ、また、飲んで来たの?」

「ちょっとだけ。ママは?」

「今、お風呂」


水沢は服を脱いで、お風呂に入った。

「あっ、しゅん君お帰り。私、すぐに上がるから」

「良いよ、湯船でくつろいで」

と、言ってシャワーで身体を洗い始めた。

嫁さんは、しばらくすると、お先にと言って風呂場を出た。


晩ごはんは、ポテサラと冬瓜の煮付けと、豚肉の生姜焼きだった。

そこで、嫁さんは缶ビールを飲んでいた。

旦那にも勧めたが、飲まなかった。


しばらくテレビを3人で観て、水沢はベッドに転がりこんだ。

明日は夜勤。

飲めないな!と、思いながら。明日の夜勤は、一柳と尾形がメンバーだった。

尾形は新人だが、動きが良い。

水沢は深い眠りに就いた。



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