第10話

 村に帰ると周囲の僕を見る目が変わっていた。とりあえずピーヴの店で報酬を支払う。

「どうやらお前が魔族ってことがバレたらしいぜ」

「そう、ですか」

 どうやら僕はこの村にはいられないらしい。

 僕は翌日、荷物をまとめた。

「ユウさん。本当に行かれるのですか?」

「ああ、君は行く必要はないよ」

「いいえ! 行きます! 私も!」

 彼女も荷物をまとめる。

 扉を開けると大家さんがいた。

「おや、ユウさん。出ていくのかい?」

「ええ、そのつもりです」

「そうかい。寂しくなるねぇ。私はあんたが魔族でもいいけどねぇ」

「え?」

 思わず大家さんの目を見つめる。

「みんなもそうだよ。あんたが魔族でも気にしないよ。確かに魔族は恐ろしいものだって教わってきたけど、あんたはちっとも恐ろしくないじゃないか。私たちを助けてくれたし」

 その言葉を聞いて衝撃を受けた。そうか、みんなはそんな風に。

「っ! ありがとうございます!」

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(仮)魔族王子物語。魔王の息子は頑張って生きていく。 相原ハチ @aihara8

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