トラック4:自称妻がお背中お流しします
【SE:シャワーの音】
(扉越しのくぐもった声)
『着替え、ここに置いとくねー』
『頭洗ったとこ? 湯船の加減よさそう?』
『ばっちり? ま、当然だよね。あなたの妻だもん』
『それじゃ……失礼しまーす♪』
【SE:背後で風呂場のドアが開く音】
「お背中、お流ししまーす♪ なんて、ね」
「そんなに狼狽えなくていいじゃーん。これくらい普通だよ、普通」
(吐息が耳にかかる)
「(耳元で)私達……夫婦なんだから……」
「(耳元で)一緒にお風呂入るくらい、当然、でしょ……?」
「(耳元で)ほーら、照れずにこっち向いてみて……?」
「(耳元で)恥ずかしがらないで……ね?」
「……いいからこっち向きなさい、って!」
「ふふふふ、じゃーん! びっくりした?」
「実は水着でしたー♪」
「記憶もないのにいきなりこんな美女の裸はちょっと刺激強すぎるもんね~?」
「私の裸はその内……ね?」
「あ、なんで目を逸らすのー。水着なんだからもっとまじまじと見てもいいのにー」
「……水着でも刺激が強い? ふふふふふ……うぶなんだから、もう」
「はいはい、それじゃあこっちを見なくてもいいですよー」
「それじゃあ、勝手に背中洗っちゃうねー?」
「いや、言ったでしょ。背中流すって」
「妻なんだから……大好きな旦那様にこれくらいするのは当たり前、でしょ?」
「……価値観が古い? なんでそういうとこは覚えてるかなー」
「いいから、洗われときなさい、って」
「ほーら、あわあわあわ~♪」
「私のきめ細かな肌で泡立てたボディーソープで、洗ってあげまーす♪」
「タオル? 使わないよ?」
「柔らかーな人肌で、キレイキレイにしてあげるから……ね?」
「そーれ、ごしごし、ごしごし……」
「……あ」
「背中、こんなに大きくなって……(小声)」
「……へえっ!?」
「なんでもない、なんでもない、よ?」
「動きがぎこちない、って……そんなわけないでしょ!」
「あ、あなたの裸なんて見慣れてるんだから!」
「それはもう毎晩毎晩、見せあってたんだからね!?」
「……ごめん、今のは忘れて」
「えーい、もう余計なこと言わないで大人しく洗われなさーい!」
「ごしごし、ごしごし……」
「……筋肉、ついてるねー」
「すっかり、男の人、だね」
「腕も、ごしごし、ごしごし……」
「……綺麗になった、かな?」
「じゃあ、前も洗うね」
「だいじょーぶ、見ないから!」
「こうやって、腕を回せば……」
(声が耳元に近づく)
「……ね? 体の前も、洗えるでしょ?」
「なーに、耳真っ赤にしちゃって。のぼせちゃったかな?」
「当たってる? ふふふふふ……」
「これは……当ててる、って言うんだよ……♡」
「それじゃあ、逞しい胸筋も、洗っていくね……?」
「ごしごし、ごしごし……」
「一緒に背中も……ごしごし、ごしごし……」
「……何で洗ってるのかって?」
「さあ? なんだろうね……スポンジかもしれないね……?」
「柔らかーくて、おっきな、スポンジ……♡」
「綺麗にしてあげるからね……♡」
「ごしごし、ごしごし……」
「さわさわ、さわさわ……」
「そんなに硬くならないで……」
「……お胸は、これくらいでいいかな……?」
「それじゃあ、次は……し、下の方、を……」
【SE:水がかかる音】
「きゃーっ!?」(通常の声に戻る)
「きゅ、急にシャワーかけないでよ!? びっくりしたじゃない!」
「あとは自分で洗うからもういいって? ……こっからが本番なのに」
「あーはいはい、分かった、分かったから! 全くもう、照れ屋さんなんだから」
「大人しく出ていくから安心して。この湯舟、二人で浸かるにはちょっと狭いもんね」
「久々のお風呂だから、一人でゆっくり体を伸ばせばいいんじゃない?」
「じゃあ、上がるわ」
「あ、そうそう……」
「(耳元で)……洗ってほしくなったら、いつでも洗ってあげるから言ってね……?」
「……じゃあ、ごゆっくり~」
【SE:背後で風呂場のドアが閉まる音】
【SE:水の音】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます