肉じゃが
琉生⊿
第1話(1話完結)
ザッ、、、ク、、、、
ザッ、、、ク、、、、
「うっわ!兄ちゃん人参切るのヘッタクソ!大きさバラバラじゃん」
「うるせぇ〜〜〜〜〜!!!!!!!!腹に入れば一緒なんだよ!文句言うならお前がやれよ!!」
「俺は今肉を切るのに忙しい」
「キィ〜〜〜〜〜!!!!」
ぎゃあぎゃあ言いながらも慣れない料理をしているのは中学生の息子達だ。なんでも、誕生日の私のために夕飯を作ろうとしてくれている。
「母ちゃんは座ってて!俺たちでなんとかするから!たぶん!」
ちょっと不安だ。
メニューのリクエストを聞かれた時、なんとなくその時の気分で「肉じゃががいい」と言ってしまったのを若干後悔している。簡単な方だとは思うが、もっとこう、野菜炒めとかにしておけばよかったかもしれない。まぁいいか。
「砂糖って思ってる倍入れれば良いんだっけ?」
結構不安になってきた。
でも下手にここで手を出したらせっかくやる気になったこの子達に悪いし、いい修行になるかなと思って口は出さないことにした。
「まってwwwwwwwww玉ねぎ多すぎ!!多いよこれwwwwwwwww」
「レシピ通りだよ!レシピを信じろ!」
玉ねぎは煮込むとだいぶ嵩が減るから大丈夫だ。
ジャァァ、、、、パチパチパチ
野菜を炒める音。
コトコトコトコト、、、
今度は鍋の音。
◇
「えっ、、、さっきまでてんこ盛りだった玉ねぎは???どうして。。。。」
わかるよ。私も料理を始めたての頃はそんな反応だった。
「う〜〜〜ん。多分完成!それっぽくはなったよ!」
どうやら完成したようだ。
ガチャリ。
丁度夫が帰ってきたようだ。タイミングがいい。
「じゃあみんなで食べよっか!テーブル準備して!」
食卓に山盛りの肉じゃがが並ぶ。具材のサイズはバラバラだが初めはこんなもんだ。
「「いただきま〜す!」」
私が普段使っているレシピで作られた肉じゃがだが、作り手が違うだけでこんなにも味が変わるのか。これはこれで悪くなかった。なにより私のために頑張ってくれたことがすごく嬉しかった。
「後片付けまでが料理だからね!」
「ヴッ」
露骨に嫌そうな顔をする。やるからには最後までやってもらわねば。
だって今日は私の誕生日なのだから。
肉じゃが 琉生⊿ @rui7625s
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