『迷子の迷子の宇宙人』
やましん(テンパー)
『迷子の迷子の宇宙人』
あるばん遅く、財政破綻し、自殺寸前のぼくは、死に場所を探して、小さな山の上にある市民公園に行きましたら、ぼくの半分以下くらいの宇宙人さんが、ひとりぼっちになって、寂しくぶらんこに揺られておりました。
その宇宙船らしきは、砂場に不時着しております。
『どうしたの?』
と、尋ねたのです。
『じつは、超ワープエンジンがエンストしてしまいまして、ここに、落ちました。はい。』
『それはそれは、お気の毒に。』
『いえ。まあ、仕方ないです。ぼくは、運が悪いのです。最下層の請け負いサービスのサラリマンですが、なにをやっても中途半端。今回も、あっちがわ星雲の大王から、こっちがわ球状星団の女王さまに、ラプレターを届ける仕事を命じられたのですが、どうやら、それは偽装工作で、よこっちょ大銀河のやましーん公爵が妨害するのを見越して、ダイバンダー伯爵が放った囮だったようです。だから、まあ、遭難しても、助けら、きませんよ。絶対に。ここで、ぼくの長い旅はおわり。』
『おわりっ、て、どうするの?』
『そらもう、宇宙船ごと、自爆ですね。まあ、この星も、消えますが。』
『いや、それは、まずいだろ。ここには、多数の生き物がいます。道ずれはだめですよ。救難信号とか出せないの?』
『超空間通信機もエンジンが動かないと働きません。こうなったら、証拠を残さず消える。それが、おきてなのです。』
『おきて、て。それはやめてください。太陽系もひろい。生き物のいない星もある。』
『だって、宇宙船壊れたから、飛ばないよ。代わりを用意してくれますか?』
『そりゃ、まだ、地球人類は、月に行くのぁも、😨精一杯なんだから、無理というものです。』
『じゃ、だめだ。では、自爆します。』
『まてまて、まて。なんとかするから。』
『ほんとに?』
『ああ。だから、今夜は自爆しないでください。』
『わかった。明日のこの時間まで待ちます。期待はしませんから、気にしないで。』
😷😷😷😷😷
そこで、ぼくは、なんとかして、この宇宙人さんを、地球から脱出させなければならなくなったのです。
しかし、そんなこと、できるわけがないではないですか。
あなた、できますか?
タクシー会社に掛け合ったって、間違いなくだめだし、そもそも、『ゆうべ、宇宙人さんに、会いまして………』何て話を、まじめに聴いてくれる人がいるとは思えません。
人々は、テレビや本では、宇宙人だ、幽霊だ、ユーフォーだ、と、騒ぎますが、現実の問題として付き合ってくれるひとなんて、いるわけがありませんよね。
しかし、ぼくには、ひとりだけ、思い当たる人がいたのです。
有名ではないが、地道なオカルト研究者の、
『なに? 宇宙人? わかった。見に行こう。』
というわけで、ぼくは、秀吉さんを連れて公園に行きました。
もう、明け方です。
ところが、事態は思わぬ方向に進んでおりましたのです。
なんと、宇宙人さんは、たくさんの人に取り囲まれていたのです。
耳の早い、足の軽い、一部のマスコミさんも、すでに来ていました。
大人気になっていたのです。
あの、名高い、ジャポン科学地球特捜防衛隊は、出足が遅れたのです。
規制線を張りたかったらしいのですが、もう、とても、出来ませんでした。
しかし、秀吉さまは、単にオカルト学者ではなくて、一流の技術者さまでもありました。
また、なにしろ、ファースト・コンダクターは、ぼくですからね、あらゆるマスコミさまや政府機関を差し置いて、その栄誉として、宇宙船内を、さっそく見せていただいたというわけです。
『こりゃ、本物だ。ぼくには、第一報告を書く権利をください。』
秀吉さんは、交渉しました。
『もち、どうぞ。ただし、で、ぼくは、脱出できますか?』
『かならず、実現させます。まかせなさい。』
秀吉さまは、はったりの名人でもありました。
あっという間に、秀吉さんはイニシアチブを握り、日本宇宙部隊、さらに、アメリカ合体宇宙軍、欧州宇宙連合会を味方に付けました。
しかし、ロシア・中国宇宙軍も、負けじと、すぐにねじ込んできたのです。
秀吉さんは、巧みに策略を講じて、なんと、オール地球でもって、宇宙人さんを帰還させるプロジェクトを始動させました。すごい。⤴️⤴️!
そのかわりに、壊れた宇宙船は、地球で頂くこととし、帰還のためのテクニックを拝借することと、したのです。
一月後、宇宙人さんはめでたく帰路に着き、地球人類は、戦争を放棄したのでした。
ぼくは、ちょっとした報酬をいただき、自殺は中止したのです。
秀吉さんは、やがて、総理になりました。
めでたしめでたし❤️
おわり
🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌🙌
ぽ
🐻🐼🐨🐨🐨🐨🐨🐣🐣🐣🐑
🙇
はかない、夢だったな。
公園に行こう😅
『迷子の迷子の宇宙人』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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