第9話 人生で一番輝いた日

十年後・・・

 今日は高校の同窓会、雄大や飯塚も集まってみんなで楽しく飲んでいた。「いやーあの時の優勝はしびれたねー」と雄大が酒を飲みながら言う。

「その辺にしとけよ、お前、酒弱いんだから。」

「うるさいな、今日くらいいだろ。」

「まぁ、あの時の大会は今までで一番うれしかったな。俺出てないけど。」

「それに関しては何にも言えない。」と俺たちは昔みたいに楽しく話していた。

ふとテレビを見ると、「吉澤選手、世界卓球優勝!オリンピック金メダルも夢ではないか?」というニュースが流れてきた。吉澤とはあの試合以来、再び戦う時があった。その時はもちろんぼこぼこにされたけど。それ以来たまに吉澤とは連絡を取っている。

「いやーしかし、まさか本当に結婚するとはねー」

「うるせぇな、その話何回目だよ。」そう、俺はあの大会の後柚葉に告白をして付き合い始めた。そして去年結婚したのだ。

「あ、飯塚君久しぶり!」そう柚葉が話しかけてきた。

「久しぶり!宮原さん」

「遅かったな、柚葉。」

「うん、仕事が立て込んでてね。ごめんなさい。」と俺に謝ってくる。

「いや、謝る事じゃない。」と柚葉に言った。そんな話をしていると酔った雄大が「あとは新婚さんでお幸せにー」と手を振りながらどこかへ行った。

「雄大は相変わらずだね。ところで何の話してたの?」柚葉は笑いながらそう言った。「んーあの大会の話。」というと「いつもその話だよね。」という。「確かにいつもその話しかしてないな。」と二人で笑いあう。

でもいくつになってもあの大会の話が必ず出てくるのは、それは俺たちにとって一番特別でいい思い出だったのだ。きっとあの日は、まるで物語の主人公になったみたいな日。どれだけ年をとってもきっと変わらない「人生で一番輝いた日」なのだ。


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人生で一番輝いた日 NARU @narukama

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