第9話惑い
会ってはみたものの、ふたりとも言葉を探せずにいる。きっと、あなたは苦しんでいる。悩んでいる。もしかしたら、もう答えは見えていて迷っているのかもしれない。でも、何に苦しみ、悩み、迷っているのか、おしえてくれないし、分けてもくれないままだ。
だから、あなたは「ずっと一緒に居よう」とは言わないだろうと察してしまった。だけど、それは今までの希望的観測をしない悪い癖のせいで、もしかしたら「ずっと一緒に居よう」と手を差しのべてくれるかもしれないと、この場においてまだ私は初めて手にした希望の欠片を捨てきれずにいた。だけど、苦しくとも「ずっと一緒に居る」を選んだとして…あなたは素直に「幸せ」と言える?
私は、あなたが困るのがわかっていて、「あなたと居たい」「あなたじゃなきゃだめなの」って言える?
そして、「幸せ」と言って笑いあえる?
あの夜を境に、ふたりは少しずつ変わっていった。
あなたが、あの華のような
あなたがため息をついた。何かを言いよどんでいる。
つい何日か前までは穏やかな空気に包まれていた空間も、今はピンと張りつめた空気に包まれている。 あなたには、どんなにか息苦しい空間になっているか想像ができる。
わざと冷めた目で見てるわけじゃない。意地悪で優しい言葉を言わないわけじゃない。私には…それしかできないの。だって、多分数日後、もしかしたら数分後には私はまた独りになるんでしょ?また独りで泣くんでしょ?あなたは陽を浴びて咲く華を選んで誰かに褒めてもらうんでしょ?
わかっているの、それがあなたの幸せだって。わかってしまうのが哀しくて、否定してくれる言葉もないのが切なくて、私は途方にくれてるだけなの。
こんな空気になってしまったら…もう、「もう少しだけ時間をください」なんて言えない。
それが、とてつもなく悲しい。
なぜ、私は一緒に居ることすら許されないの?
なぜ、あなたは私と居ることを
その理由を教えてくれたら
私から「さよなら」を言ってあげる。
想い果 ―おもい はつ―改訂版 一閃 @tdngai1
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