第7話 兆し
あなたは久しぶりの呑み会に「知ってるやつばかりだし…」と私を誘ってくれた。
私は、あなたが気を遣うことなく楽しんで欲しかったから誘いにはのらず、友人と週末の夜を過ごすことにした。友人と一緒に料理を作ったり、懐かしいラブストーリーを観たり、楽しく時を過ごした。夜も更けてきたが、散歩がてらコンビニに行くことになった。
コンビニで買い物をして店をでて駐車スペースを横切る時、おもわず「えっ」と声が出た。「どうした?」と友人が私の視線を追う。あなたが綺麗な
私は…あなたの名前を声にできない。あなたも私に気がつき視線が合った。だけど…私の名前を呼んでくれない。あなたの横を歩く
夜も更けた呑み会の帰り道、綺麗な
友人が「お酒入ってるしね、朝イチ焦って電話してくるでしょ」と言ったから、私は「そうだね」としか言えなかった。
朝になっても、昼になってもスマホは鳴らない。いつもならふたりでランチをしているのに…。鳴らないスマホを気にしながら、あなたの横を歩いていた
陽を浴びて咲くヒマワリと夕暮れに咲く月見草。どちらが正解、間違えとかではなく、ただ、それだけのこと。同じ花びんには飾られない花だから、どちらの花が好きなのか、それだけのこと。
夕方、テーブルの上でスマホが震えた。
「二日酔いだよ…明日、会おうよ」と、あなたが言った。私は「うん」とだけ答えた。
ふたりとも言葉にしなくてはいけないことを
あの夜、私は何を守ろうとして、何を諦めたんだろう。そんな事すらわからないまま時をやり過ごしてしまっている。
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