第2話僕のプロローグ
木枯らし1号が吹いて数日が経った。少し先のイベントを前にして、浮かれ始めている街の雑踏の中で名前を呼ばれて振り向いた。振り向いてはみたが、行き交う人々の中に知った顔はない。確かに…呼ばれたんだ、懐かしい声で。確かめたくて、あちらこちらに視線を泳がせてみたが、知った顔も懐かしい声も見つけられない。『気のせいか』と歩を進めると、冬の冷たい風が通りすぎて「まぁだだよ」と聞こえた。―君なのか?―風の行方を追うと君に
いくつかの経験で
あの頃の自分の情けなさを悔やむ気持ちが暴走してしまったら…
何度か古い友人から伝言ゲームのような君の噂が届いたけど、僕は曖昧な返事しかできなかった。君が
古傷は、忘れた頃にチクチクと痛む。
君なのか?僕の名前を呼んだのは。
君なのか?「まぁだだよ」と追いこして行ったのは。
教えてくれ。
僕は何を探して、何を見つけたらいいんだい?
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