EX 生徒会役員達

 天気も心なしか快晴が増えたように感じられ、だるような暑さの前兆を予感させる7月。俺を含めたカップル爆散同好会1年生三名は生徒会室へと招集させられていた。

 一学期最後のイベント事でもある期末テストが終了し、皆々の多忙が緩和した今、数週間前の御礼を改めてと小岩戸こいわとさんが場を設けたのがきっかけだ。


「改めて、皆期末テストお疲れ様! それぞれ課題もあるかもだが一学期の残り数日も気を緩めず邁進まいしんしていこう!」


 少し堅めの小陽先輩の挨拶で始まったのも生徒会役員一同とその招待者三名が介する社交的な場だからに違いない。

 それを受けいつも通り包帯の巻かれた左腕を突き出すシュガーさんとサングラスなどかけそうもない大人しめな妃衣さんは対照的だ。


「この人たちが小岩戸ちゃんの問題を解決した人? 確かに1年の成績上位者が並んでるな」


 実質初対面で、一方的に顔だけは知っている生徒会書記の2年生男子生徒は、特徴ていな八重歯を光らせて俺たち3人の顔を見比べそう評する。

 ここで中間テストの時とは違い妃衣さんシュガーさんとまとめられているのは俺の期末テストの順位が17位だったことも起因しているだろう。

 ちなみに早海は42位。あいつにしては頑張った方だろう。


「確かに~~。みんな風格があるよね~~」


 机を枕代わりに半分寝ているようなジト目を向けてくるのは会計の3年生女子生徒。

 この方も顔だけは見たことがある。

 その先輩に餌付けするようにチョコ菓子を与えているのが確か2年生で生徒会副会長の女子生徒。

 俺たちが絶対に言ってはいけないと思うが結構クセの強い人選だ。


「皆少しマイペースすぎるぞ……」


 一様体裁的には招待者の俺たちを気遣って顔を引きつかせる小陽先輩はまさしく苦労人の生徒会長といった感じだ。

 それに同調するように一番の後輩である小岩戸さんは睨みを利かしている。

 何だかあの事件で生徒会内で軽く揉め事が起きていたのにも納得がいってしまうチグハグさだ。


「まぁこんな雰囲気だが生徒会としては今回の件は本当に感謝しているんだ。一学期のお疲れ様会だとでも思って楽しんでくれ」


 手に持ったグラスにオレンジジュースを継ぎ足す小陽先輩は同好会と生徒会に挟まれて気まずそうにしている。

 俺としては学内トップクラスの秀才に囲まれて俺も賢くなった気分を味わえているのでこれはこれで楽しいのだが。


「期末テストと言えば皆さんは結果どうだったんですか?」


 マイペースを貫き通す空気間にてられて俺はそんな質問を口にする。

 自身の成績向上で付け上がっていたのもあるだろう。

 全員あまり固執していないような言い方で語れた順位をまとめるとこうだ。


妃衣さん  :1年生学年7位

シュガーさん:1年生学年3位

小岩戸さん :1年生学年2位

書記さん  :2年生学年5位

副会長   :2年生学年2位

小陽先輩  :3年生学年4位

会計さん  :3年生学年1位


 俺はつい先ほどまでかっていた賢人のような感覚を剥ぎ取られるような感覚に溺れる。

 最下位だからなんだ。


 

 

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