Ritual ~この絶望しかない世界で~
性描写有り。不快な表現あり。
苦手な方はご注意下さい。
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生まれてこの方、僕は心から笑ったことが無い。
その日はめずらしく、収容者を全員を集めて朝礼が行われた。
朝礼台に所長が立った。
「野郎ども、喜べ! 我が収容所にも女が配給されることになった!」
「女!!!!!」
女という言葉を聞いただけで、体の芯が疼きだし突き刺すような肉欲がこみ上げてきた。
男たちはそわそわと落ち着きが無くなり、午前中の仕事も身に入らない様子だった。
昼過ぎに、女たちが到着した。
女たちは皆ガリガリで薄汚れていた。
この世界では華やかさが絶対だ。華やかな女ほど価値がある。
生き延びるために女たちは自分を磨き、憧れのデビュタントを目指して、美しく着飾るのだ。
そして華麗に社交界デビューを果たした女たちは、身分の高い男たちに買い取られる。
今、目の前にいるのは、買い手が付かなかった女たちだ。
彼女たちは、自由を奪われ、尻を突き出した状態で横一列に並んでいた。
ブタ小屋のような藁を敷いただけのみすぼらしい場所でそれは行われた。
男たちは列を作り、女たちの尻に、己の生理的な欲求をぶちまけた。
「野郎共、しっかり吐き出していけ!」
看守の怒号が飛び、男子たちはフラフラと列に並んだ。
生理的な欲求というものは、痛めつけられれば痛めつけられるほど、追いつめられれば追いつめられるほど強くなる。
不思議なことだ。
どんなに疲労困憊で動けなくなっても、生理的欲求は無くならない。
逆により強烈に突き上げてくる。
生理的欲求を解消するには生理的欲求を満たすしかない。
男子たちは今まで感じたことのないほどの疼きを感じていることだろう。
男子たちは己の一部を女の部位に差し込んで、出すものを出して、そそくさと去っていった。
男たちが去ると、目の前には汚れた尻の群れだけがあった。
その中にクラスメートの女子はいなかった。
もしいたら、男子たちも気づいたはずだ。
男子たちは己の欲求を満たすことを優先するだろうか。それとも…。
ハッ!
藁の上の女たちが憎しみのこもった目でこちらを見ていた。
なぜ?
女たちを肉便器として扱ったのは僕じゃない。
ダンゴムシの僕は異世界でもただ無様に蹴られているだけの存在なのに。
それなのに、なぜ憎しみの目を向ける?
ああ、そうか。彼女たちには、僕も他の男たちと同じに見えるのか。
だとしたらどうしようもない。
僕はいつものように卑屈な笑みを浮かべて彼女たちから視線をそらした。
くるりと踵を返して男子たちの後を追った。一刻も早く、ブタ小屋から離れたかった。
かなり離れた場所まで来ると、なぜか笑いがこみ上げてきた。
「ふふふ…あはは…あはははははは!」
生まれてこの方、僕は心から笑ったことが無い。
今も笑いたくて笑っているわけじゃない。
だけど笑いが止まらなかった。
どうしても止まらなかったんだ。
【おわり】
Ritual ~帝国に召喚されたダンゴムシと30人の学生たちの異世界デビュー~ シュンスケ @Simaka-La
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