第50話 新たな時代の幕開け

 宮廷内に平穏が戻ってから数日が経った。涼王と玲蘭は共に国を支え、民のために尽力する日々を過ごしていた。楊大人の陰謀が崩れ去り、新たな秩序が築かれつつある宮廷は、穏やかな空気に包まれていた。


 その日、涼王は宮廷内で大きな宣言を行う準備をしていた。彼は全国から集まった重臣たちと一堂に会し、新しい時代を切り開くための決意を示す場を設けた。涼王にとって、この日は特別な意味を持っていた。玲蘭を正式に自分の最も近くで支える存在として位置づけ、新しい体制を発表する日だったからだ。


 大広間には、重臣たちが整然と並んでいた。その中央に涼王が立ち、玲蘭も彼の隣に控えていた。


 涼王は深い息をつき、力強い声で話し始めた。


「ここにいる皆に告げる。我が国はこれから新たな時代を迎える。そしてその時代を共に築いていく者として、玲蘭を私の最も信頼する側近として迎えることを正式に発表する」


 その言葉が広間に響き渡り、重臣たちの間に静かなざわめきが広がった。玲蘭は涼王の言葉に心を打たれ、静かに頭を下げた。涼王はさらに続けた。


「玲蘭は、この国の未来にとって不可欠な存在だ。彼女の助言と献身は、私が国を治める上で大きな助けとなっている。そして彼女は、ただの女官ではない。私と共にこの国を守る、共に歩む仲間である」


 涼王のその言葉に、玲蘭は胸の奥が熱くなるのを感じた。彼のそばで過ごしてきた日々、共に戦い、共に苦しみ、そして共に喜びを分かち合ってきた時間が、この瞬間すべて報われたように感じた。


 重臣たちは静かに頷き、涼王の決意を受け入れた。そして、その場にいたすべての者が、新たな体制に向けて心を一つにすることを誓った。


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 その日の夕刻、広間での宣言が終わり、涼王と玲蘭は宮廷の庭園に向かって歩いていた。夕陽が空を赤く染め、二人の影を長く伸ばしていた。


「玲蘭、今日は君の力を正式に認めることができて嬉しい。君がいてくれたからこそ、私はここまで来ることができたんだ」


 涼王は優しく微笑みながら玲蘭に語りかけた。玲蘭はその言葉に感動し、彼に向かって静かに答えた。


「陛下、私もこうして陛下のお傍で仕えられることが、本当に嬉しいです。これからも、どんな未来が待っていても、私は陛下と共に歩んでいきたいと心から思っています」


 涼王は玲蘭の手を取り、彼女を自分の方へと引き寄せた。そして、彼の目には深い感謝と愛情が込められていた。


「玲蘭、君と共にいることで、私はどんな困難も乗り越えることができる。君が私の隣にいてくれる限り、私は未来を恐れない。共に、この国の未来を築いていこう」


 玲蘭は涼王の手をしっかりと握り返し、彼の言葉に心から頷いた。


「はい、陛下。私は陛下と共に、どこまでも歩んでいきます。陛下のお傍で、私のすべてを捧げます」


 二人は夕陽を背に、静かに未来を見据えた。玲蘭にとって、涼王と共に生きることが自分の人生のすべてであり、その隣で国を守ることが彼女の使命だった。


 夕暮れの庭園に立つ二人の姿は、まさに新たな時代の幕開けを象徴していた。風が静かに吹き抜け、二人の心を一つに繋いでいるように感じられた。

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「紅蓮の女官」 灯月冬弥 @touya_tougetu

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