第46話 仕掛けられた罠
玲蘭は宮廷内の陰謀が深刻さを増していることを感じ取っていた。楊大人が仕掛けた策略は、彼女を失脚させるために着実に進行していたが、その全貌はまだつかめていなかった。
ある日、玲蘭はいつものように涼王に付き従い、彼の執務室で報告書を整理していた。だが、心の中には常に不安が渦巻いていた。
(楊大人がどんな手を使ってくるのか……)
その時、涼王の信頼する重臣である李大人が部屋に入ってきた。彼は緊張した表情で涼王に一礼し、重要な報告があると言った。
「陛下、申し上げます。楊大人が玲蘭殿に対して不正な証拠を仕立て、彼女を失脚させようとしているとの情報を得ました。どうか、ご注意ください」
涼王はその言葉に険しい表情を浮かべた。
「不正な証拠だと……?」
李大人は頷き、さらに言葉を続けた。
「はい。楊大人は、玲蘭殿が陛下の権力を私的に利用しているという偽りの証拠を作り上げ、それを公開しようとしています。これが広まれば、玲蘭殿だけでなく、陛下の信頼も傷つく恐れがあります」
その報告に、涼王の表情がさらに険しくなった。玲蘭は胸が痛くなるのを感じながらも、冷静さを保とうと努力した。
「それは重大な問題だ。楊大人が私に背き、玲蘭を陥れようとしているなら、許すわけにはいかない」
涼王は強い決意を込めて言ったが、玲蘭は自分の立場を冷静に見つめていた。
「陛下、楊大人の陰謀が広がる前に、何か手を打たなければなりません。もしこのまま進んでしまえば、私だけでなく陛下にも迷惑がかかるかもしれません」
玲蘭はそう言って、涼王に向き直った。
「私はこの問題に自分で対処したいと思います。陛下に負担をかけたくありません」
その言葉に、涼王は一瞬驚いたが、すぐに真剣な表情で玲蘭を見つめた。
「玲蘭、君に何があっても私は守る。だが、君がその覚悟で臨むなら、私も共に戦う覚悟だ。楊大人の陰謀は、私自身への挑戦でもある」
涼王の言葉に、玲蘭は深く感謝し、決意を固めた。涼王と共に楊大人の策略に立ち向かい、彼女自身の力でその罠を打ち破ることを誓った。
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その夜、涼王は李大人を通じて信頼できる側近たちに指示を出し、楊大人の動きを抑える策を講じ始めた。玲蘭もまた、自らの立場を守るために動き出した。
翌日、玲蘭は宮廷内の女官たちに楊大人の不正な行動について密かに調査を始めさせた。彼女は細かい情報を集め、楊大人の罠がどのように仕組まれているかを探ろうとした。
そして数日後、玲蘭はついに決定的な証拠を手に入れる。それは、楊大人が涼王に仕立てた偽りの書簡を作り、玲蘭が涼王の権威を利用して私利を得ているとする偽の証拠だった。
(これが、私を陥れるためのもの……)
玲蘭はその証拠を手に取り、涼王に報告することを決意した。
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その夜、涼王の執務室で、玲蘭は涼王にその証拠を見せた。
「陛下、これが楊大人が仕組んだ罠です。このままでは、私だけでなく、陛下の信頼も傷つけられてしまいます」
涼王はその書簡を手に取り、しばらく無言で見つめた。そして、冷静に言葉を発した。
「楊大人の陰謀がこれほど露骨なものであれば、彼の悪事を暴くのも時間の問題だ。玲蘭、君を守るために全力を尽くす」
涼王はすぐに李大人を呼び、対策を練り始めた。涼王は宮廷内での支持を集め、楊大人の陰謀を暴露する準備を進めることを決意した。
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翌日、宮廷での大きな会議の場において、涼王はついに楊大人の策略を公に暴くための準備が整った。
「皆の者、聞いてくれ。我が信頼する玲蘭に対して、ある者が悪質な陰謀を仕掛けている。ここに、その証拠を示す」
涼王は重臣たちの前で、楊大人が仕組んだ偽の書簡を提示し、その不正を暴いた。楊大人はその場で取り押さえられ、重臣たちは次々に涼王の判断に従った。
楊大人の陰謀はついに崩れ去り、玲蘭はその清廉さを証明した。涼王の信頼は揺るぎないものとなり、玲蘭は改めて彼の側に立つことを誓った。
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