「紅蓮の女官」

第47話 陰謀の崩壊

　翌日、宮廷の大広間では、全ての重臣と女官たちが集まり、緊張感が漂っていた。涼王は、楊大人の不正を暴露するための最終的な証拠を用意し、決着をつける準備が整っていた。

「今日、この場に集まっていただいたのは、重要な報告があるからだ」

　涼王が厳粛な口調で話し始めると、広間にいる全員が静まり返った。彼は重々しい空気の中で、楊大人の顔を見据えた。

「楊大人、君が私に対して、そして私の信頼する者に対して陰謀を仕掛けたことは既に明らかだ。君が玲蘭を陥れるために作り上げた偽の書簡を、私はここに持っている」

　涼王はその書簡を広間に示し、証拠をすべて公にした。重臣たちはざわめき始め、楊大人に疑念の目を向けた。

　楊大人は一瞬動揺したが、すぐに平静を装って口を開いた。

「陛下、それは何かの誤解です。私がそのようなことをするはずがありません。陛下、どうかご理解ください」

　彼の声にはわずかな焦りが滲んでいた。しかし、涼王は冷静に彼を見据えたまま、言葉を続けた。

「君が何を言おうとも、証拠はここにある。玲蘭は私にとって信頼すべき存在であり、君のような陰謀でその信頼を揺るがすことはできない」

　涼王の言葉は重みを持って響き、楊大人の立場はますます危うくなった。広間にいる他の重臣たちも、その証拠を目にし、楊大人の言葉に対する信頼を失っていった。

　---

「涼王陛下、どうかお許しを……」

　ついに楊大人はその場で膝をつき、涼王に許しを請うしかなかった。彼の態度はすでに敗北を認めたも同然だった。

「楊大人、君は私の信頼を裏切った。宮廷内での陰謀を許すわけにはいかない。相応の処罰を受けるべきだ」

　涼王は冷静にそう告げ、近くに控えていた護衛たちに指示を出した。楊大人はその場で連れ去られ、宮廷内に再び静寂が訪れた。

　---

　楊大人が連行された後、涼王は玲蘭に向かって歩み寄り、その手を取った。

「玲蘭、君に迷惑をかけてしまったが、これで全てが終わった。君は私にとって、かけがえのない存在だ」

　玲蘭は涼王の手を握り返し、彼の信頼に応えられたことに感謝した。

「陛下、私は陛下のお傍にいられることが何よりも幸せです。これからも共に、この国を支えていきたいと思います」

　玲蘭の言葉には、揺るぎない決意と愛情が込められていた。涼王もまた、その言葉に微笑みを浮かべ、彼女を見つめ返した。

「もちろんだ、玲蘭。君がいなければ、この国は前に進めない。これからも共に歩んでいこう」

　---

　その日の夜、宮廷内は再び平穏を取り戻した。玲蘭は涼王と共に庭園を歩き、夜空を見上げていた。

「長い戦いでしたね……」

　玲蘭が静かに言葉を漏らすと、涼王は優しく頷いた。

「だが、これで私たちは新たな未来に向かって進むことができる」

　涼王の言葉に、玲蘭は胸が温かくなるのを感じた。二人の絆はこの戦いを通じてさらに強くなり、彼女は涼王に対する信頼と愛情がこれまで以上に深まっていることを確信した。