「紅蓮の女官」

第24話 新たなる旅立ち

　玲蘭は自らの未来を見つめ、長い時間をかけて考え続けていた。後宮で涼王を支えてきた日々、宮廷内での陰謀を防ぎ、国を守るために尽くした時間は、玲蘭にとって何よりも誇り高いものであった。しかし、彼女の心には次の一歩を踏み出す時が来ているという確信があった。

（私は、新しい道を歩むべきなのかもしれない……）

　その思いが日に日に強まる中、玲蘭はついに決断する時が来たことを感じていた。涼王にすべてを打ち明け、自分の選ぶ道について語る時が来たのだ。

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　ある日の朝、玲蘭は涼王の執務室を訪れた。いつものように静かで落ち着いた雰囲気が漂う中、玲蘭は深く息を吸い込んでから、涼王に頭を下げた。

「陛下、少しお時間をいただけますか？」

　涼王は玲蘭の様子に気づき、穏やかに微笑みながら彼女に声をかけた。

「玲蘭、もちろんだ。何か話があるのだな」

　玲蘭は静かに頷き、自分の心の内を伝えるために言葉を選びながら話し始めた。

「陛下、私はこれまで長い間、陛下をお支えしてまいりました。それは私にとって、何よりも誇り高いものであり、これまでのすべてが陛下への忠誠心によって支えられていました」

　涼王は玲蘭の言葉を静かに聞き、彼女が何を伝えようとしているのかを理解し始めていた。そして、その瞳には玲蘭への深い感謝と信頼が映っていた。

「だが……私は、もっと広い世界を見てみたいと思うようになりました。これまで後宮と宮廷の中で生きてきましたが、今度は自分自身の道を歩んでみたいのです」

　玲蘭はその言葉を伝えた時、胸の中にあった重荷が少しだけ軽くなったように感じた。彼女が選んだ道は、涼王のもとを離れることを意味していたが、それでも自分自身の成長と新たな可能性を見つけるためには必要な決断だった。

　涼王はしばらく黙っていたが、やがて深く頷き、静かに言葉を紡いだ。

「玲蘭、お前の気持ちはよくわかる。私も、いつかお前が自分の道を選ぶ時が来るだろうと感じていた。お前がこうして自分の未来に向き合うことは、私にとっても嬉しいことだ」

　涼王の言葉には、玲蘭への深い理解と愛情が込められていた。玲蘭は、その言葉に心を動かされ、目頭が熱くなるのを感じた。

「陛下……」

　玲蘭は言葉を失い、ただ静かに涼王の前で頭を垂れた。彼が自分を受け入れてくれたこと、そして新しい道を応援してくれることに、深い感謝の念が溢れていた。

「お前がいなくなるのは寂しいが、それでもお前が選んだ道を応援したい。お前がどんな道を歩もうとも、私の信頼は変わらない」

　涼王のその言葉は、玲蘭にとって何よりも力強い支えとなった。彼女は涼王の言葉を胸に刻み、これからの旅立ちに向けて強い決意を抱いた。

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　数日後、玲蘭は後宮を去る準備を整えた。後宮の女官たちも彼女の決断を尊重し、静かに見送る準備をしていた。秋蘭もまた、玲蘭の側に立ち、彼女を応援してくれていた。

「玲蘭様、あなたが決めたことは素晴らしいことです。どうか、新しい道でたくさんの経験を積んでください」

　秋蘭の言葉に、玲蘭は微笑みながら頷いた。

「ありがとう、秋蘭。あなたの支えがなければ、ここまでやってこれなかったわ。これからも、陛下のもとで頑張ってね」

　玲蘭はそう言いながら、秋蘭に感謝の気持ちを伝えた。

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　そして、その日がやって来た。玲蘭は後宮を離れる最後の朝、涼王にもう一度別れの挨拶をするため、彼のもとを訪れた。

「玲蘭、今日でお別れか……」

　涼王は静かに立ち上がり、玲蘭の前に歩み寄った。その目には、玲蘭への感謝と別れの寂しさが込められていた。

「はい、陛下。今日をもって、私は新たな道を歩むことにいたします」

　玲蘭は深く礼をし、涼王に最後の挨拶をした。

「玲蘭、お前が歩む道が、素晴らしいものであることを祈っている。お前のような者がどんな道を選ぼうと、きっと成功するだろう」

　涼王の言葉に、玲蘭は深い感動を覚えた。彼女は最後に涼王に微笑みを浮かべ、静かに後宮を後にした。

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　玲蘭が後宮を離れると、朝の光が彼女を包み込んだ。新しい世界が広がり、彼女の前に無限の可能性が待っているように感じられた。

（私は、この新しい道で自分を見つける……）

　玲蘭は深呼吸をし、力強く一歩を踏み出した。彼女の旅はまだ始まったばかりだが、その心には涼王と宮廷で得たすべての経験が詰まっていた。！