第22話 新たな始まり

 高官たちが涼王を陥れようとした陰謀は暴かれ、彼らは全員捕らえられた。隣国との貿易交渉も無事に進み、国は再び安定を取り戻しつつあった。玲蘭は、自らの手で涼王を守り抜いたことに誇りを感じながらも、心の中で次の課題に向き合っていた。


(私は、この国を守るためにやってきた……でも、これからも同じ道を歩むべきなのか)


 陰謀が解決した今、玲蘭は自分の未来について考え始めていた。これまで、涼王を支えることが自分の全てだと信じていたが、最近の出来事を通じて、さらに広い視野を持つことが求められていることに気づいた。


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 ある日の夕暮れ、玲蘭は後宮の庭を一人で歩いていた。風が静かに吹き、木々が揺れる音が心地よく響いていた。彼女の心は、これまでの戦いと、そしてこれからの未来に向けた葛藤で揺れていた。


 その時、涼王が静かに彼女のもとに現れた。


「玲蘭、よくやってくれた。お前のおかげで、宮廷も国も守られた」


 涼王の声は穏やかでありながら、その中には深い感謝が込められていた。玲蘭は彼に向かって深く礼をした。


「陛下、私はただ、陛下をお守りしただけです」


 玲蘭の声は控えめだったが、その背後にはこれまでの全ての苦労が詰まっていた。涼王は彼女の表情を見つめ、静かに問いかけた。


「玲蘭、お前はこれからどうするつもりだ? これからも私の側で働いてくれるのか?」


 その問いに、玲蘭は一瞬言葉を失った。涼王の側で働くことは、彼女にとって何よりも大切なことだった。しかし、それと同時に、彼女の心の中には新たな道を模索する気持ちが芽生えていた。


「陛下、私はこれからもお守りしたいと思っています……しかし、最近、自分の役割について考えることが増えました。もっと広い世界を見てみたい、そう感じています」


 玲蘭は自分の胸の内を正直に打ち明けた。涼王はその言葉に一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに穏やかな笑みを浮かべた。


「そうか……お前がそう感じているのなら、それも一つの道だろう。お前が望むなら、どんな道を選んでも私は応援する」


 涼王の言葉には、玲蘭への深い信頼と理解が込められていた。彼は玲蘭が自らの意思で道を選ぶことを望んでいたのだ。


「ありがとうございます、陛下」


 玲蘭はその言葉に胸が熱くなった。彼女は涼王に対する忠誠心を変えるつもりはなかったが、それでも自分自身の成長を求め、次のステップに進む準備を感じていた。


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 その後、玲蘭は蒼斉とも話をする機会を得た。彼もまた、玲蘭が陰謀を防いだことに対して感謝し、彼女の将来を考えるよう勧めた。


「玲蘭様、これまであなたがしてきたことは、誰よりも称賛に値します。しかし、これからは自分のために生きる時間を少しずつ持ってもいいのではないでしょうか」


 蒼斉の言葉に、玲蘭は少し驚いたが、彼の真意を理解した。彼もまた、玲蘭が成長し、次の道を選ぶことを望んでいるのだ。


「ありがとうございます、蒼斉。私も、自分の未来についてもっと考えてみようと思います」


 玲蘭は静かに微笑み、蒼斉に感謝の気持ちを伝えた。


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 それから数日が過ぎ、宮廷内は再び平穏を取り戻していた。玲蘭も、日常の任務に戻りながら、自分のこれからについて少しずつ考える時間を増やしていた。


(私は、この後宮で何を成し遂げていくべきなのだろうか……)


 彼女の心は、これまでのように涼王を守ることだけに囚われるのではなく、さらに大きな視野で物事を見る必要があると感じ始めていた。自分が何をすべきか、どの道を選ぶべきか――その答えを探す旅が、今まさに始まろうとしていた。


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 ある夜、玲蘭は一人静かに星空を見上げていた。夜空には無数の星が輝き、その中で 彼女の心もまた、新たな光を探していた。


(私はこれからどうすべきなのか……)


 玲蘭は深く考え込んでいたが、その時、涼王の言葉が胸に蘇った。


「どんな道を選んでも、私は応援する」


 その言葉に、玲蘭は少しずつ自信を取り戻し始めた。涼王の信頼と支えがある限り、どんな道を選んでも、自分は間違っていないと感じることができたのだ。


(私には、私の道がある……それを見つけるために、私はこれからも進んでいく)


 玲蘭は静かに目を閉じ、心の中で新たな決意を固めた。

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