第20話 陰謀の糸口

 玲蘭と蒼斉が再び宮廷内の陰謀を探る中、次第にその全貌が見え始めていた。高官と隣国の使者が密かに企んでいた計画は、涼王の権力を揺るがし、国全体を混乱に陥れるものだった。彼らは貿易交渉を隠れ蓑に、自らの利権を確保しつつ、宮廷内の権力を手中に収めようとしていた。


 玲蘭はその計画の危険性を痛感し、何としても早急に行動を起こさねばならないと感じていた。


「蒼斉、我々が動く時が来た。今が正念場よ」


 玲蘭は冷静にそう告げ、蒼斉もまた同意した。


「はい。奴らが計画を実行する前に、我々が先手を打たなければ、国は大きな混乱に陥るでしょう」


 二人は涼王に再び報告し、すぐに計画を阻止するための具体的な手立てを講じることにした。


---


 その日の夜、玲蘭と蒼斉は再び密かに動き始めた。高官たちが何か重要な会合を開いているという情報を得たため、玲蘭はその場に忍び込んで、計画の全貌を把握することにした。


 宮廷の奥深く、普段は使用されない小さな会議室に数人の高官が集まっていた。彼らは極秘裏に話し合いを進め、陰謀の実行に向けて最後の準備を整えているようだった。


 玲蘭は音を立てず、会話の内容に耳を澄ました。


「次の動きで涼王を封じ込め、我々の計画は成功する」


「彼がまだ何も気づいていないうちに、我々はすでに彼の権力を削ぐための手立てを進めている」


 高官たちは、次々と計画の詳細を語り始めた。彼らは涼王の信用を失墜させ、隣国との連携を強めることで、涼王を宮廷内で孤立させるつもりだった。


(これは……かなり具体的な計画にまで進んでいる)


 玲蘭はその内容に驚きを隠せなかった。彼らが涼王の信頼を失墜させようとするその方法は、涼王が知らぬ間に内部からの裏切りによって実行されようとしていた。


「我々がすべてを掌握した時、涼王は無力になる。次の貿易交渉の場で、彼の信用を完全に失墜させる準備を進めるんだ」


 そう言いながら、高官たちは陰謀を着々と進めていた。


玲蘭はその場でさらに会話を聞き、彼らが計画の詳細を詰めているのを確認した。彼らは隣国との交渉を通じて涼王を失脚させ、宮廷内での権力を一手に握ろうとしていたのだ。


(これを見過ごすわけにはいかない。今こそ、動く時だ)


 玲蘭はすぐに蒼斉に知らせ、行動を起こすことを決意した。


---


 翌朝、玲蘭と蒼斉は涼王の元へ向かった。彼らは昨夜の会合で得た情報を詳細に報告し、すぐに計画を阻止するための対策を講じるよう進言した。


「陛下、奴らは貿易交渉の場で、陛下の信用を失墜させようとしています。彼らの計画が実行される前に、我々が動く必要があります」


 涼王は静かに二人の話を聞きながら、深い思索に沈んでいた。彼の目には、怒りではなく冷徹な判断力が宿っていた。


「玲蘭、蒼斉、お前たちの報告には感謝する。今は、私たちがどのようにこの陰謀に対処すべきか、慎重に考えなければならない」


 涼王は冷静さを保ちつつ、すぐに高官たちの動きを封じるための計画を練り始めた。


「彼らが私を貶めようとするならば、それに対抗する手立てはすでにある。だが、重要なのはタイミングだ。次の貿易交渉の場を利用して、私たちは彼らを逆に追い詰める」


 涼王の言葉に、玲蘭と蒼斉は驚きつつも、その計画の妙を理解した。彼らは高官たちが自らの手で涼王を追い詰めようとしているが、その場を逆に利用することで、彼らの陰謀を暴くという逆転の手を打つことができる。


「お前たちには、貿易交渉の場でさらに詳しい情報を掴んでもらいたい。そして、決定的な瞬間を見逃さず、我々の優位に立つための準備を整えてほしい」


 涼王の指示を受け、玲蘭は深く頭を下げた。彼女はすでに、涼王の信頼に応える覚悟を決めていた。


「必ずや、陛下のために計画を成功させます」


 玲蘭は強い決意を胸に秘め、再び動き出すことを決意した。


---


 その日の午後、玲蘭と蒼斉は貿易交渉の場に出席するための準備を整えた。高官たちが何を企んでいるかを見極めるために、彼らは慎重に動きを見守りながら、決定的な証拠を掴むために目を光らせていた。


 宮廷内では、次の交渉が近づくにつれて、徐々に緊張感が高まっていた。玲蘭は、この場で涼王を守るために何ができるかを考え続けていた。


(私は、陛下を守るためにここにいる……どんな危険が待ち受けていても、必ず乗り越えてみせる)


 玲蘭の中で決意が固まる中、次の一手が迫っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る