第2話逃げられない
翌日になり、自宅を出る直前に玄関先で母親にいってらっしゃいと送りだされたとき、早く登校することについて何も聞いてこなかった。
私は瞳に母親の顔が映った刹那、なんだかもやもやした感情が胸中に漂った。
私は昨日汚された制服のスカートは穿けず、予備のスカートを穿いて、登校した。
早い時間に電車に乗る為に、普段より早く自宅を出た。
駅に到着するとホームで電車を待つ乗客はまばらだった。
私は胸を撫でおろし、ひと息吐き、ベンチに腰を下ろした。
10分も経たずに、乗る電車がホームにスピードを落としながらはいってきた。
急ぎもせずに、電車へと乗る私。
座るスペースも余裕があり、空いており、難なく椅子に腰を下ろした私。
予想通りに昨日私を痴漢してきた佐伯という人妻の姿はない。
私は通学鞄からスマホを取り出し、好きなバンドの最新情報をチェックしだす。
充分な睡眠がとれず、眠気が押し寄せてきたがどうにか持ち堪え、降りる駅に電車が停まり、降車した。
私が通う高校まで残り数Kmといったところにスマホが着信音を鳴らした。
不安が過りながらもスマホを確認すると、不安的中し、佐伯と画面に表示されている。
『瑠美ちゃん、電車で見掛けないけど、ひょっとして休むの高校?それとも乗る電車を変えたの?会えなくて、寂しいよ私。放課後になったら、貴女を高校前まで迎えに行くから待っててね!』
『迷惑だからやめてくださいっっ!絶対来ないでください!』
私は佐伯に拒絶する文言を返信し、スマホを通学鞄に入れる。
一分も経たない内に返信がきて、怖くなり、返信せずにスマホの電源を落とした。
高校に到着した私は自身の席の机で突っ伏し、浅い眠りに就いた。
いつの間にか登校していた岩崎に肩を揺すられ、起きると昨日の欠席や連絡がつかなかったことについて、追及された。
この日の授業は、どの授業でも教師に注意を度々受けてしまった。
私は注意力散漫なことを友人に心配され、河合に一緒に帰ろと誘われたが、佐伯の餌食に河合もされるだろうと考え、丁重に断った。
午後の授業を終え、SHRも済んだ私のクラスは騒がしくなり、早く教室を出ていく私だった。
スマホの電源を入れると、10件以上の連絡やメール、SNSのアプリのメッセージが30通をこえる数が届いていた。
幾つかのものに脅しと思われるものが混ざっていた。
私は佐伯から指定された駅まで電車を乗り、降車した。
昨日ぶりに会う佐伯の笑顔に身体が強張った私で、会話を交わす声は震えていた。
構内に入っている狭めのカフェで向かい合い、千円札を五枚私の前に置いた佐伯だった。
昨日と同じラブホに連れてかれ、私は身体を汚されていく。
死にたいと過った瞬間が何度も訪れ、悲鳴と喘ぎ声をあげ続けた私の喉は潰れていった。
私は彼女に脅し返そうと画策するが無駄に終わりそうで諦めた。
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