あのとき

えね

あのとき

あーあ、あのときこうだったらな...。大人になった今でも後悔している。でもあのとき私は小学5年生。恋だの愛だの知る由もなかった。だから、私はその時の気持ちをそのままの言葉で姉に相談した。そしたら姉は、少し嬉しそうにどこか寂しそうな顔をして「心、それはね恋だよ。」と言われた。その時の私は「そっか、これが恋か。」それだけしか思わなかった、いやそれしかわからなかったのだろう...。でもその時の私が「好き」このたった2文字を言えていたら...。いや、この短いようで長過ぎる2文字が言えていたら今見えている世界が、過ごしている世界が少しでも違って見えていたのかもしれない。


 私は、その時、彼が純粋に好きだと思った。優しい笑顔に優しい心、そして

優しすぎた言葉。子供の私と大人のあなた。住む世界が違い過ぎたのかも

しれない。私は彼の前ではなぜか緊張して素直になれずにいた。そんなときも、

あなたは必ず優しかった。ニコニコしている彼を見て私は、このまま時間が

一生止まってしまえばいいのにとさえ思った。

 

 しばらくたち、私達は中学生になった。お互い違う中学校だった。私は新しい

場所に行き、また新しい恋をした。新しい恋をしてしまえば彼のことを忘れられる。そう思った自分がバカだった。頭の中ではまだ彼の笑顔と言葉が聞こえた。


 少しだけ大人っぽくなった私と、会えなくなったあなたになった。


 それから何回も道ですれ違った。でも私は声をかけることも通り過ぎて振り返ることもなかった。もちろん挨拶もできなかった。友達には言えなかったけど、自分が情けなく感じた。小学生の頃はあんなに仲が良かったのに。多分制服が変わってしまい髪型も何もかも変わり私は不純になった。だから彼は気づかなかったんだろう...。

でも私は、前のように仲良しに戻りたかったわけではなかった。ただ謝りたかった。感謝したかった。「素直になれなくてごめん。」「子供だった私に優しくしてくれてありがとう。」と。きっと...いやもう絶対に会うことはないだろう。


 ありがとう...そしてさようなら。初恋泥棒王子様。幸せになってね...。



 私は2回目の恋はあまり覚えていない。それが未だに恋だったのかも分かっていない。


 中学2年生で出会った彼。最初はあまり良い印象ではなかった。 お調子者のうるさい人って言うイメージだった。でも、秋ぐらいに彼が優しいことを知った。最初は意外だなって思ってただけだと思う。でも、ある日噂が流れていた。「将矢が心のこと好きらしい。」最初は正直「へー。」としか思わなかった。でも人は不思議なもので

それを聞いたら変に意識してしまう。好きじゃなくても、ただのクラスメートだと思っていても、彼を目で追ってしまうようになった。その時の私はきっと恋に恋していたのだろう。


 中学2年生になってその人とは違うクラスになった。私はいつしか彼のことをすっかり忘れていた。恋をしていたことも優しくしてくれたことでさえも...。


 そして卒業式、私は久しぶりにあった。それで彼のことを、彼との出来事を思い出した。でも、それだけで忘れるってことはそのぐらいしかない気持ちだったんだ。そう思った。


 まあ、彼にも、もう二度と会うことはないだろう。初恋の頃と違ってもう

会えなくても別にいい。別に会いたいとも思わない...。


 でも、やっぱり一瞬でも好きになった相手だ。幸せになって欲しいとは思う。わがままだけど、会わずに幸せになれたかを聞きたい。


 たくさん笑わせてくれてありがとう...。そして一生さようなら。実際はどうだったか分からないけど一瞬でも好きになってくれたならありがとう。嬉しかったよ...。


3回目の恋は私は高校に入って恋した葉瑠だった。そして、最後の恋にすると決めた。


 葉瑠とはクラスと部活が一緒だった。そして、最後の恋らしくアピールを頑張ってしていた。友達や先輩に相談して、口実を作ってLINEも交換した。


 彼、葉瑠は優の優しさと将矢の面白さを混ぜた人だった。私にとって高嶺の人だった。しかし、すぐに仲良くなることができた。でも、その時の私はそんな関係では満足できなかったのかもしれない。最高な相手で絶対に両思いになりたいと思った。いや、なってやると皆に誓った。

 でも、彼は鈍感だった。アピールしても全く気付いてくれなかった。「好きだよ。」それを言ってもダメだった。「ありがとう。嬉しいよ」そう言われた。私は諦めなかった。そしたら付き合うことができた。楽しかったな...。

 まあ、半年も続かなかったんだけどね。


 私はこれから恋をしないかも知れない。でもきっとすると思う。最後なんてないから。絶対なんてないから。次は続きと良いんだけど...。

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あのとき えね @Eneeeeee59

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