第13話 配信をするようです① ※ビューワ 1行×32文字以上
前回、配信部屋から帰った時にメイド長さんが来たので、部屋に怪しいものがないか確認をしていたが、まったく怪しいものが見当たらない。
元の世界のようなGPSみたいなものではないと思うけどさっぱり。
埒が明かないので、もう配信をしてみることにした。
今日は、SNSと配信をしようと決めた。
前もって配信枠を立てることができなかったので、その準備。
その後にSNSで告知、と配信。
所要時間は、念のため短め30分を予定している。
自室に早く戻って監視の有無を確認したい。
監視されていませんように!
「もったいないけど、仕方がないなぁ」
自室のドアの内側に粉歯磨き粉の粉を小さな三角になるように形作り、ドアにくっつけて置いた。
ドアが開けば、崩れるので人が入ったかわかるように。
今日は魔法の鍵を、壁に使ってみる。
前回と同じように黄金のドアが浮かび上がってきて、ガチャッとドアが開いた。
youLIVE-site362 SNS
ヴィヴィオラ★
→こんばんは
ちょっと短いけど配信するね
監視があるかもだから! 多分ね
※※※ ↳多分って何?ww あのあと気になってたよww
ヴィヴィオラ★ ↳バレてるかも?
※※※ ↳SNS書き込めるって事はネットスキルってやつ?
最近の強スキルじゃん!
ヴィヴィオラ★ ↳使う人がポンコツなのを
忘れてもらっては……
※※※ ↳配信待機する
ヴィヴィオラ★ ↳今から枠たてる!
※※※ ↳なんか困ったことない?<250円>
ヴィヴィオラ★ ↳250円ありがとう
相談させてもらうね
通知 入金<250円>
残金<5,030円>
youLIVE-site362 LIVE
配信画面を開く。
本来なら人間の姿をキャプチャーして、
真っ白の配信画面に胸元までの上半身が映る。
背景が真っ白って味気ないなぁ。
それにガッツリ胸元が開いた寝間着なんだけど、大丈夫かな?
タイトルは近況報告ってことにしよう。
LIVEの文字が赤く点る。
LIVE 黒白ヴィヴィオラが配信始めました
タイトルーーお知らせ・近況報告ーー *チャット ランダム表示
「こんばんにーにー! ヴィヴィオラだよ。みんな久しぶり!」
[こんばんにーにー]
[おひさー]
「というか3日? 3日も配信していないなんてビックリだね~。今日は集まってくれてありがとう」
[こんばんにーにー]
[こんにーにー]
[こんばんは]
[4日ぶりだねぇ]
「短めの配信でごめん、15分ぐらいしかできないかも」
[おらワクワクすっぞ!!こんばんにーにー]
[異世界どう? 15分把握]
[可愛いワンピースだね。なんか姿も変わった?]
「その前に、日本は今何時?」
[21時だよー21時34分]
[異世界ってなんだ?]
[SNS見てみww]
[今日は新衣装お披露目?]
「アハハ、寝間着なんだ。その件はちょっと待ってね。あっ、このPCの時間とあってるね」
[なんかリスナーいつもより多いから何があったかと思った]
[SNSから来ました]
[初バズかな?]
「初見さんも来てくれててるんだね! ありがとう。時間もないので早速、本題に入るね!」
[ワクワク]
[初見っス!!]
[はーい]
「ヴィヴィオラは! なんと! 異世界召喚されました!!!」
[異世界…うんww]
[おめでとうございます?]
[本当なら羨ましいなー]
[おめ!]
「でね、〖youLIVE-site〗だけ使えるの」
[中途半端だな]
[なんで?]
[ふぁっ!モデル3Dにしたの?]
[youLIVEは異世界でも有名なのかぁ]
[最近の異世界ものってなんでもありだよね]
「3Ⅾってわかる?流石だねって当たり前か」
[youLIVE-site使えるってラッキーじゃん]
[3Ⅾっていうか、超美麗3D]
[実写した感じ?]
「凄い! 当たってる! 異世界にはこの姿で転生? 転移? しちゃった」
[異世界かぁ 中世ヨーロッパ風?]
[SFファンタジー希望!]
[あれほど新衣装は作らないって言っていたのにするって事は事実
なんじゃないか?]
[メカいいよね。乗りてぇ]
[可愛い格好で転生できて……って中の人なんかいないもんね]
「そうそう、中の人はいませんよ! 残念! メカはいないハズ。オーソドックス中世ヨーロッパ風で魔法があるみたい」
[<2222円>にゃーにゃー応援にゃ―にゃーで]
[スキルって何あるの?]
「サンクチャありがとう」
[ナイスサンクチャ!]
[ナイスサンクチャ]
「スキル……これスキルなのかな? サイトでショッピングできるみたいだからありがたくサンクチャ使わせてもらうね。漫画とか読みたいんだけど買えないんだよ」
[これはこれで凄い]
[スキル:弱小チェーンの田舎コンビニっていうのあったよね。小
説でさ]
[田舎のコンビニ?]
[ホームセンターみたいになんでもあるんだよ。肉や魚、朝採れ野
菜から肥料まで]
[サンクチャ少ないけど、なんでも使ってくれていいよ]
「え、その田舎コンビニスキル欲しいじゃん……神様じゃないけど神様ポジの人に配信できないと召喚に応じないって言ったら、〖youLIVE-site〗関係のはできるようになったんだぁ。でも、まともに使えるのはLIVEとSNSとショッピング、あ、動画は見れない……」
[ここのチャットいい人ばっかりだな]
[信じるか信じないかあなたーー次第ですww]
[楽しめればいいんだよ]
[動画見れないのか、ヴィヴィに説明するの難易度があがったな]
「ごめん、ごめん。信じられない人いるのはわかるし、それが普通だよ。ブラウザバックしてもらっても大丈夫だからね」
[ショッピングできるなら異世界で楽に生きれるのー]
[『壊れかけのタブレットPCと共に異世界に来ております』って
いう小説あったな、最近、投稿止まってるけど]
[異世界見せてよ]
「見せてって、例えばLIVE配信しながら戦えって感じ?」
[そうそう、手っ取り早いじゃん。だったら信じるわ。なんなら、
カメラ機材代払うし]
[ヴィヴィに戦えるかなぁww]
「あーー、なるほどね。確かに配信できるなら直接見せろって言うのもわかるなぁ。顔ばれとか配信事故起こんないし。がしかし、断る!っていうか無理っぽい」
[残念だ]
[う~ん、そこまでしろって思わないけど見たいよね]
「無理だと思う理由がさ。昨日ネットショッピングしたんだけど、買えるものが、その世界で作れるものだけらしい」
[へぇ、お金さえあれば何でも買えるわけじゃないんだ]
[何欲しかったの?]
「うんとね。歯磨き粉がないからサントスタの
[確かに、無理そうだね]
[普段から手元配信とか実写配信してなかったから、神ポジの人も
想定外なんだろうね]
[今ある機材持ち出しできないの?]
「あぁ、なるほど。次回やってみるね。今回は時間がないから。まぁ、信じてもらおうと強くは思っていないんだけど……、異世界っぽいものってなんだろう。アカウントバンされないもので見たいもの言って。持ってこれたら持ってくる。ただ、城にいるから今は難しい。おいおいね」
[無理しないでええーよー]
[ちょっと待て。世界に影響ってことはさ、カメラを持ち出したら
カメラ消えるんじゃあ?]
[俺は、創作って思っても楽しければいい]
[カメラ消える可能性あるな。そうしたら配信できなくなるんじゃ
ない?]
「やば! その可能性大かも! 粉歯磨き粉さぁ。 プラスチックのケースに入って売っていたんだけど、中身だけ届いた!」
[なかなか笑えるな]
[液体の物だったら最悪やん]
「最悪だったよ。あはは。でね、でね。まず、逃げるにはどうしたらいいのか聞きたくてーー」
[アバウトすぐるww]
[まずは、何があったのか詳しく!]
「そうだね、うーんと転生って生まれ変わる事でしょ? 形は変わったんだけど、いやヴィヴィオラなんだけど。あーー面倒だぞ……。中の人からヴィヴィオラに完璧になったの。それで勇者召喚された。」
[猫耳獣人設定が設定でなくなって本物になったのね]
[召喚転移ちょっぴり転生ってやつか]
「で、そこの王様がーー大陸統一ぅ――ってさ。怪しさ爆発でしょ!」
[あー、なるほどきな臭いやつらだと]
[でも、最近はそっち系のほうが王道ではある]
[召喚の目的は何だったの?]
「え? そうなの? 表向き目的は魔王討伐だったよ。勇者召喚に巻き込まれた人は私含めて5人なんだけど、3人脱落した! うん、ある意味脱落だね」
[え]
[えぇ??(困惑]
[もしかして、お亡くなりに?]
[召喚初日に追い出されるアルアル]
「生きてる、生きてる! なんかさ、戦いたくなければさ愛人になれって言われて3人は頷いたんじゃないかな。私は断って戦いの訓練始めてる。あと勇者君も」
[勇者君不憫やん。ポンコツ配信者とだなんて……ww]
[愛人? 誰の愛人なの? 俺のビビに!!!]
[王様に言われたん?]
「で、どうしたらいい? 逃げたいんだけど 何したらいいだろう。愛人愛妾は第五王子さまダス!」
[逃げる一択だね!]
[ステータスどうなってる? なんかあるんでしょ?]
「ステータス調べたよ! うーん。貧弱だったしハテナハテナだった。チャット欄に書くね」
[[ジョブ]???レベル0[HP]022[MP]222]
「こんな感じ、こんだけ。HPが貧弱ぅ、貧弱ぅでしょ!」
[HP22ってその世界の基準がわからんとなんとも]
[ジョブってなんもないん?]
[MPあるってことはだよ、魔法使えるじゃない?]
「実はさ、神様ポジの人に、ラッキー全振りでってお願いしたらこうなっちゃった。勇者君はHP100で 聖者の人が低くてHP60ぐらいだったかなぁーー」
[あのゲームの影響か……]
[なんで、そんな不確定なものお願いしたのだ。ラッキーなんて人
それぞれじゃん]
[非戦闘員みたいな聖者より下か]
[ラッキーな事あるん?]
「この国ね、ほぼ、周り人間しかいなくて、かつ獣人嫌いらしいのにね。なんというか快適に過ごしてはいる」
[ほな、ラッキーちゃうかー]
[ネットが使えるのもラッキーかもよ。ネット使うのにMP消費し
たりする?]
「わかんない。MP消費するのかな……」
[強制的に追い出されないのはラッキーなはず]
[話し戻すけどさ、逃げるための準備?]
「そうそう。逃げる事は決定してる、一応勇者君もつれて。男子高校生なんだって。若いよねーー」
[おとこ!?]
[勇者だから、役に立つ! ここはヴィヴィの為にモチツケ]
[やっぱり、お金と地図? 地図は逃げ先を決めるために。国をで
るって感じでしょ]
[なんか、魔物とかいる世界なんだよね? じゃあ、お金で戦える
奴隷買うのがいいのかもよ。だからお金だね]
「ハハハ、高校生だよ! 私は襲わないよ! 安心するのだ! 年下は考えたことないなぁ。何がとは言わないけど。お金は今のところ無一文。地図かぁ。確かに! 貰えるか聞いてみる」
[金はネットショッピングで転売王道じゃない?]
[そうだな。転売一択だな]
[もう、15分だぞ]
「やば! 楽しくて時間が過ぎるのが早い! お金問題かぁ。そこらへんまた話そう! そうだ、大事なお知らせがあったんだ。実はこのネット使えるのがあと今日入れて362日だけみたい」
[え? 期限あんの?]
[マジか]
「残念ながら。2日前のSNSしたとき364って書いてあったんだけど、今日見たら362って書いてあった。カウントダウンだと思う」
[今日が362、召喚されたのが今日入れて4日前?]
[ビビ……5周年記念は盛大にっていってたじゃん]
[わかった、異世界の話は5周年に向けてのフラグなんだよ]
[なるほど召喚された日を一日目として365からカウントダウン
なんだね]
[362日で一人前の人間に育てるのかーー]
「期限じゃなければいいんだけどね……今から引退配信枠取っておくよ。引退までエンタメだと思ってくれてもいい。楽しもうね」
[異世界生活一周年、おめでとうのカウントダウンの可能性]
[引退嫌だよ、ぐすん]
[引退まで、俺たちでしっかりサポートするんだ!]
[ピエン]
「おめでとうの可能性を信じる! まだ、まだ先だから! みんなから知恵を貰って生きるから。よろしくね。今日はそろそろ終わりにしなくちゃ。多分監視? されてるみたいだから」
[監視っておだやかじゃないね]
[監視かぁ、やっぱりヤベー国なのか]
[勇者召喚で呼んだ人を愛人として飼い慣らそうとしてるんやで、
お察しや]
「なんか、前回このスキル? 使ってるとメイド長さんが確認に来たから、今回も来たら監視確定かも。じゃぁ、次回は生きていたら配信するね」
[また、次回楽しみにしてる]
[がんばれにーにー]
[生きてたらって怖いこと言わないで!]
[次回は、もっと具体的にしてほしいこと言って! 助けるから]
「アハハ、OK! そうだね。しっかり質問考えておく! またね! 今日もご視聴ありがとう。バイバイにーにー!」
[おつかれーにーにー]
[おつー]
[おつにー]
LIVEを切る。
通知 入金<2,222円>サンクチャ代が入金されました
残金<7,252円>
みんな、優しいなぁ。
こんな荒唐無稽な話なのに合わせてくれる。
異世界転移なんて一種のエンターテインメントと思われても、それは全然問題ないんだ。
実際、私だってこの状況を良く受け入れているなと思う。
でも、みんなにとっては物語でも、私にとっては現実で、生きていかないといけない。
ここは、しっかりみんなにサポートしてもらおう。
それにしても、異世界転生やらの小説がたくさんでてるからかな?
みんなの頭の中では、色々シミュレート出来ているみたいで頼りになるね。
異世界本、なんであんなに爆発的に流行ったのだろう。
もしかして、虎さま達のせいなのかなと思っちゃった。
時間忘れてたーーうん、自室に戻らないと。
「監視なんてねぇ……気のせいだといいんだけど」
部屋に戻るとドアの前に置いた粉歯磨き粉の山が崩れていた。
はわわわうわーー!!!! みんな助けてーー!!!!
「まずい、誰かが部屋を覗いた。やばい、やばい、やばい!」
ドアをそっと開けて廊下をキョロキョロと確認する。
今ここには誰もいない。
しかし、大部屋の外の廊下からは、いつも静かな時間なのに何か探している人達の声が聞こえる。
多分、探しているのは私だよね。
この配信スキル知られてもいいのか?
できること考えると知られてもいいのかも?
うーんと考えていると斜め向かいのドアが開いた。
「ヴィヴィオラさん、こっちに来てください! 早く!」
「え!? うん? 神斗君? どうかした?」
「どうかした? って俺じゃなくて! 早く!」
言われるまま、神斗君の方へ向かう。
少し泣きはらしたような顔の神斗君は私を部屋に向かい入れるとドアを閉めた。
「神斗君、大丈夫? 目が腫れてるよ」
ホームシックかな……。
それとも、訓練が辛いのかな?
神斗君は、顔を腕で拭う。
「俺は大丈夫です。それよりヴィヴィオラさん、どこかに行ってました?」
えーと…、えと。
「どこかに行ってたんですね。少し騒ぎになってます」
やっぱり騒ぎになってるんだ!
「ごめんなさい。ちょっと今は言えない……」
「俺はいいとして、城の人にはどうしても隠したい感じですか?」
「うーん、実際、どうしていいかわからない。まだ考えがまとまらないいというかーー」
「……わかりました。ここで俺といたことにしましょう。俺の部屋には探しにきていないので、なんとか口裏合わせたら大丈夫なはずです」
「ありがとう。ごめんね。でもなんでなんだろう、なんか監視というか居場所がわかるのかなぁ」
神斗君は、私の頭の方を見つめている。
正確には猫耳。
「な、何? 何かついてる?」
「それだと思います。耳についているピアス」
ピアス?
この赤い石がついているピアスの事?
王様からのプレゼントの?
リーナさんが『そちらは国王陛下からの下賜品でございまして……』と言っていたことを思い出した。
これか!
これが監視装置なのかと耳からピアスを外す。
まじまじと眺める。
うーん、石だよね……石以外の何物でもないよね……
「壊すか!」
「駄目です! 壊さない方がいいと思います。逆にこれを置いて部屋をでたら相手の目を騙せるので」
「なるほどーー、神斗君賢いね!」
「……。いや、逆に気づかない方が……。それより何していたことにしましょうか」
部屋を見渡すとこれまた何にもない。
まぁ、私の部屋もリーナさんにお願いしたノートとペンぐらいしかないけどさ。
「スゥ――、お話してたことにしよっか」
深く息を吸う。
神斗君は頭をひねってるみたい。
「俺が部屋にいてちょっと気になるほどの騒ぎだったので、聞こえないぐらいに夢中になっていた事にしないといけないです。というかその方が楽ですね」
神斗君は二人しかいないのに突然耳打ちしてきた。
「裸になれますか?」
えっ? な、なんだって?????
「は、は、はだかぁぁぁぁ!?!?!?!?!?!?!?!?!?」
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