第15話 再び響く鈴の音

賽銭箱が再び現れたことで、李華は再び戦士としての使命を思い出した。封印の巨人を倒した後、しばらくは平和な日々が続いていたが、再び街には危機が訪れているのかもしれないという予感が彼女を突き動かした。


「依頼を受けて、また戦う時が来たのね…」


李華は、中華屋を閉めた後、依頼内容に書かれていた家族の家へと向かうことを決意した。紙には、ある家族が行方不明になっていること、そして不気味な黒い影が町の周りを徘徊しているという内容が書かれていた。


「家族が行方不明…何かがおかしいわ。」


李華は足早に依頼された家に向かい、静かにその場所にたどり着いた。そこは静まり返っていて、人の気配は全く感じられない。家の外壁は荒れ果て、扉は開け放たれていた。


「これは…何があったの?」


家の中に入ると、家具は乱雑に散らばり、まるで誰かが無理やり家を襲撃したかのようだった。李華はさらに奥へ進むと、床に何かが書かれているのを見つけた。それは、黒いインクのようなもので描かれた奇妙な模様だった。


「これは…ただの泥棒じゃない。何か呪術的なものを感じるわ。」


彼女はその模様に手を触れると、急に鈴の音が耳元で響き渡った。李華は賽銭箱の鈴音が再び反応したことに気づいた。


「これは、何かが町で動き始めている証拠ね。」


その時、背後でかすかな物音が聞こえた。振り返ると、家の奥から黒い影がゆっくりとこちらに向かって歩いてきていた。影は人間のような形をしているが、実体はなく、不気味に揺らめいている。


「あなたがこの家族を…?」


李華はバズーカを構えるが、その影は何も言わずに近づいてくるだけだった。彼女は迷わずバズーカを発射し、影に向かってエネルギーを放った。轟音と共に衝撃波が広がるが、影は何も感じていないかのようにすり抜けてしまった。


「エネルギーが通じない…?」


李華は驚きと焦りを感じながら、影を観察した。どうやら物理的な攻撃が効かないようだった。彼女は一瞬考えた後、冷静さを取り戻し、次の手を考えた。


「影にエネルギーが通じないなら、別の手段を使わないと…」


李華は再びバズーカを構え直し、今回は別の方法を試みた。バズーカを「霊撃モード」に切り替え、エネルギーを影の存在に直接当てるように調整した。


「今度こそ…!」


バズーカが再び光を放ち、霊的なエネルギーが影に向かって放たれた。その瞬間、影は苦しむように形を崩し始め、徐々に薄れていった。


「消えた…?」


影が完全に消え去ると、家の中は再び静寂に包まれた。李華は深い息をつき、バズーカを元の形に戻した。


「一体何が起きているのか…」


彼女は依頼書に書かれていた家族がどこに行ったのかを探し出すため、さらに家を調べた。しかし、そこには家族の姿はなく、ただ不気味な気配だけが残されていた。


---


翌日、李華は佐藤に会い、この出来事を報告した。


「黒い影…か。どうやら町の裏で何かが動き始めているようだな。」


佐藤は考え込むように頭を抱えながら、何かを思い出すように言った。


「この町には、古代から闇の力が封じ込められていたと言われている。黒龍や封印の巨人と同じように、その影もまた古代の力に関係しているのかもしれん。」


「古代の力…またそれが町を脅かしているんですね。」


李華はしばらく考えた後、再び戦士としての決意を固めた。


「私がその影の謎を解いて、家族を見つけ出します。佐藤さん、また力を貸してもらえますか?」


佐藤は静かに頷き、李華に向かって力強く言った。


「もちろんだ。お前がいる限り、この町は守られる。俺も協力する。」


二人は再び共に動き出すことを決意した。町の平和を守るため、そして行方不明の家族を救うために、李華は再び戦士として戦いに向かう。黒い影の謎を解き明かすために――新たな冒険が始まる。


### 続く

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