第13話 巨人との決戦

巨大な「封印の巨人」が目の前に立ちはだかる中、李華は再び岡持バズーカを構え直した。バズーカは、彼女の決意に応えるかのように光り輝き、さらに強力な力を宿しているようだった。だが、目の前の巨人は、あまりにも巨大で、圧倒的な力を誇っていた。


「李華、無理をするな…!」


佐藤が叫びながらも、その表情には不安が隠せなかった。巨人の力は想像以上であり、ただの武器や力では到底勝ち目がないことを、二人は感じていた。


「私は、この町を守るために…この力を使う!」


李華は深呼吸し、すべての力をバズーカに注ぎ込んだ。彼女の想いがバズーカに宿り、これまでにない光とともに形を変え始めた。


「バズーカ、最終モード…!」


その瞬間、バズーカは大きく進化を遂げ、強力なエネルギーを発する武器へと変わった。まるで、李華の決意そのものが具現化したようだった。


「これが…私のすべての力…」


巨人はゆっくりと振り返り、目の前の二人に再び襲いかかろうとしていた。その巨大な手がゆっくりと空中に持ち上がり、李華と佐藤に向かって振り下ろそうとする。


「行くわよ…!」


李華はその瞬間を見逃さず、バズーカを巨人に向けて放った。エネルギーが激しい轟音とともに放たれ、巨人に直撃する。衝撃波が洞窟全体に響き渡り、巨人の動きが一瞬止まった。


「これで…終わり…?」


だが、巨人は完全には倒れていなかった。激しい衝撃を受けたものの、まだ動きを止めていなかった。その巨大な体がぐらつきながらも、再び立ち上がろうとしている。


「なんて力だ…!」


李華は驚愕の表情を浮かべながらも、再びバズーカを構え直した。しかし、彼女の体力も限界に近づいていた。巨人の一撃を防ぎ、さらにもう一撃を放つ力が残っているかどうか、不安がよぎる。


「李華、ここは俺が…!」


佐藤が前に出ようとした瞬間、巨人の手が再び振り下ろされようとしていた。その巨大な手が迫り、二人に向かって降り注ぐ。


「くっ…!」


李華は必死にバズーカを振り上げ、再びエネルギーを放とうとする。しかし、その瞬間、巨人の手が突然止まった。まるで何かに引き寄せられるかのように、巨人の体が光り始めた。


「これは…?」


巨人の体全体が徐々に薄くなり、やがて光と共に消え去っていく。封印の力が再び働いたのか、巨人は静かにその場から消えていった。洞窟の中には、ただ静寂が残った。


「何が…起きたの?」


李華は呆然と立ち尽くし、バズーカを下ろした。彼女の体は限界に近づいていたが、どうにかして巨人を倒したことを確信していた。


「どうやら…封印が再び力を取り戻したようだな。」


佐藤が静かに言いながら、彼女に近づいてきた。彼もまた、安堵の表情を浮かべていた。


「封印の巨人は…再び眠りについたんですね。」


李華は疲れた体を休めながらも、心の中でホッとした。町を脅かす巨大な力を再び封印できたことに、胸を撫で下ろした。


---


地上に戻った二人は、再び街の平穏を感じていた。太陽の光が町全体を包み込み、そこには何事もなかったかのような静けさが広がっていた。


「よくやったな、李華。お前のおかげで、町は再び守られた。」


佐藤は微笑みながら、彼女に声をかけた。李華も静かに微笑んで答えた。


「いえ、佐藤さんのおかげです。もし一人だったら、きっとここまで来られなかった。」


二人はしばらく街を見渡しながら、その平和な光景を眺めた。だが、李華は心の中で感じていた。まだ、この町には守るべきものがたくさん残っていることを。


「これで終わりではないわね。」


李華はそう呟きながら、再び中華屋へと歩き出した。彼女にはまだ、戦士としての使命が残されていた。そして、いつか再び町を脅かす存在が現れる時が来るだろう。


だが、その時まで、彼女はこの町を守り続けると決意していた。


### 続く

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