第10話 決着の時

街全体が揺れるほどの衝撃が広がり、李華と黒龍の戦いは激しさを増していた。二人の力がぶつかり合い、その衝撃で街の窓ガラスは割れ、地面はひび割れ、まるで戦場と化していた。新しい力を手にした李華は、これまでにないほど強力なエネルギーを感じていたが、黒龍の強さも桁違いだった。


「これで終わりだ、戦士よ…」


黒龍が冷たい声でそう言い放つと、彼の手に集まった暗黒のエネルギーが巨大な球体となり、李華に向かって放たれた。球体は恐ろしい速度で迫り、李華は瞬時にバズーカを構え直した。


「この一撃で、すべてを決める…!」


李華は進化したバズーカにすべてのエネルギーを注ぎ込み、強力なビームを放った。ビームは黒龍の暗黒エネルギーとぶつかり合い、激しい衝突音とともに空間が歪んだように見えた。


「どうだ、これが俺の力だ!」


黒龍は笑いながら、さらにエネルギーを注ぎ込んで攻撃を強化しようとした。しかし、李華は一歩も引かず、逆にバズーカから放つエネルギーを強めていった。


「私は、この町を守るために戦う…!」


彼女の言葉に呼応するかのように、バズーカがさらに輝きを増し、まるで彼女の決意そのものが武器に宿っているかのようだった。


「黒龍、これで終わりよ!」


李華の叫びとともに、バズーカから放たれたエネルギーが黒龍の暗黒エネルギーを押し返し、ついに黒龍を直撃した。


「な、何だと…!?」


黒龍は驚愕の表情を浮かべたが、そのままエネルギーに飲み込まれ、体が宙を舞い、地面に激しく叩きつけられた。衝撃で辺りが一瞬静まり返り、黒龍は倒れ込んで動かなくなった。


李華はゆっくりと息を整え、バズーカを岡持に戻した。体は疲労で限界に近かったが、彼女の心は清々しい気持ちに包まれていた。


「これで…終わったのね。」


倒れた黒龍に近づくと、彼はかすかに息をしていたが、戦う力は完全に失っていた。


「お前が…俺に勝つとは…」


黒龍は苦しそうに呟いたが、李華は静かに彼を見下ろし、言葉を返した。


「この町は、あなたのものじゃない。私が、町の人々が、守り続ける場所よ。」


黒龍は無言で李華を睨んだが、すぐに力尽き、意識を失った。戦いは終わった。


その時、背後から静かに歩み寄る音が聞こえた。振り返ると、佐藤が歩いてきていた。


「お見事だ、李華。よくやった。」


佐藤は微笑んで彼女に近づくと、肩に手を置いた。


「黒龍を倒せたのも、あなたのおかげです。ありがとうございます。」


李華は感謝の言葉を述べたが、佐藤は首を振って言った。


「いや、俺はただの後方支援だ。お前がこの町を守ったんだよ。これで少しは平和が戻るだろう。」


二人はしばらくの間、静かに街の様子を見つめた。黒龍が倒されたことで、町の裏社会も混乱し、悪党たちの勢力は崩壊するだろう。


「でも、まだ町の秘密が残っています。この町の地下に眠る力を悪用されないように、守らないと…」


李華はそう言いながら、倉庫で聞いた「強大な力」のことを思い出した。黒龍の言葉が真実であれば、まだ安心できる状況ではなかった。


「そうだな。だが、今は休むべきだ。お前も俺も、少し休息が必要だ。」


佐藤の言葉に、李華は頷いた。


「そうですね…少し休んだら、また動きます。まだ町を守らなきゃいけない。」


そう言って、李華は岡持を肩に担ぎ、静かに歩き出した。戦士としての彼女の使命は終わっていない。黒龍との戦いに勝利したものの、この町にはまだ守るべきものがたくさん残っている。


そして、李華は再び戦士として立ち上がる時が来るだろう。町を守るために、そして人々の平和を守るために。


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夜空に輝く星々を見上げながら、李華は心の中で次なる戦いに向けて決意を新たにしていた。

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