出前もやってますが、戦士もやってます

第1話 依頼のはじまり

深夜の静けさが漂う商店街。街灯が少しずつ消え、店が次々とシャッターを下ろす中、唯一、明かりを灯し続ける小さな中華屋があった。

「李華飯店、今日もお疲れさまでした！」

厨房から顔を出し、店主の李華（リファ）が元気よく叫ぶ。お客は既に帰り、店内は綺麗に片付けられている。今日も一日が無事に終わり、閉店の時間がやってきた。

だが、李華は知っている。この街には、閉店後の「仕事」があることを。

彼女は厨房の奥にある棚から、いつもの岡持を手に取った。町中華屋としての彼女の道具であり、もうひとつの「武器」だ。そして、その時、店のドアが軽く揺れた。

「ん？誰かいるのかしら…？」

李華が店の外に出ると、路地裏にある賽銭箱が薄暗い明かりの中で浮かび上がっていた。普段は人目に触れないその賽銭箱が、まるで呼びかけるかのように彼女を待っている。

賽銭箱に近づくと、一枚の紙と千円札が静かに置かれていた。依頼だ。李華は紙を開き、読んだ。

「借金取りに命を狙われています。どうか助けてください。」

簡潔な依頼だが、切迫した文字から依頼人の恐怖が伝わってくる。

「…またか。どうしてこうも悪党ばかりがはびこるのかしらね。」

李華は、依頼の内容を頭に刻み込み、そっと岡持を肩にかけた。依頼は受けた。これからは、町の悪党を相手にする時間だ。

彼女は静かに変身の準備を始めた。岡持の中から一着の衣装を取り出し、素早く装着する。その瞬間、普通の中華屋の店主だった李華は、一瞬で戦士へと姿を変えた。

「岡持変形、バズーカモード、起動！」

彼女の声に呼応するかのように、岡持が轟音と共に巨大なバズーカへと姿を変える。これが、街の悪党たちを一掃する彼女の秘密兵器だ。

町外れの薄暗い路地へ向かい、彼女は足を速める。依頼人が危険にさらされていることは明白だ。路地の奥から、男たちの怒号が響く。

「返せないなら、体で払ってもらおうか！」

借金取りの男たちが依頼人に詰め寄る光景が広がっていた。その目は欲望に満ちており、依頼人は震えながら地面にうずくまっていた。

「あなたたち、そこでやめなさい。」

李華の冷たい声が路地に響く。男たちは一斉に振り返る。

「誰だ！？何だお前は！」

「依頼を受けて、やって参りました。」

彼女は静かにバズーカを構えた。男たちはその巨大な武器に一瞬たじろいだが、すぐに威嚇的な笑みを浮かべた。

「そんなもんで俺たちが止まると思ってんのかよ！」

男たちが襲いかかろうとした瞬間、李華はバズーカを発射した。轟音と共に強力な衝撃波が放たれ、悪党たちは一瞬で吹き飛ばされていく。

「バズーカがこんなにも強力だなんて…！」

男たちは地面に倒れ、立ち上がることができない。彼女はゆっくりと依頼人に近づき、安心させるように微笑んだ。

「もう大丈夫です。あなたを守りましたよ。」

依頼人は涙を浮かべながら、彼女に感謝の言葉を伝えた。李華は無言で頷くと、バズーカを再び岡持に戻し、静かにその場を立ち去った。

「さて、次の依頼が来るまで、中華屋に戻ろうかしら。」

こうして、彼女の戦いの日々はまた続くのだった。