第25話 悪意の噂
ある日、友人から気になる噂について教えてもらった。
「エレノア様、最近変な噂が広がっているんです」
友人の真剣な表情に、私は身構えた。どんな内容なのか、詳しく聞いてみることにした。
「変な噂?」
「あなたの評価を下げるような、嘘ばっかりな噂なの」
話を聞いてみると、噂の内容は、私がいじめを行っているとか、悪い人たちと付き合っているとか、試験で不正している、というものだった。
「そんな噂が広がっているの?」
「はい。だけど、誰も信じていません。一部の男子グループは面白がって噂について話し合ったりしているみたいですが、女子グループは誰一人として信じていません」
「そうなの?」
友人の言葉を聞いて、安堵の気持ちが湧いてきた。私を信じてくれているのね。
「女子たちはみんな、あなたが訓練を見てくれて、試験の成績を上げてくれた恩人だと思っています。そんな人を疑うなんて、ありえない」
友人の言葉に、私は胸が熱くなった。
「ありがとう。信じてくれて、嬉しいわ」
「感謝するのは私たちの方よ。あなたのおかげで、みんな成長できたんだから」
これまでの活動が認められ、周りの信頼を得られているのだと実感した。それが、本当に嬉しかった。
「とにかく、噂の内容も不確かで、信じる要素は全くない。でも、エレノア様のことが噂されているのが許せない。どうにかして、噂を流した犯人を探し出したい」
私はすぐに、噂の発信源を予想した。おそらく、アルフレッド王子とヴァネッサの2人でしょうね。また愚かなことをしているのよ。私の評価を下げるために、そんなことをしているに違いないわ。
だけど、知らせてくれた友人には黙っておいた。
これは私の予想だし、まだ確定したわけじゃない。それに、余計に動いて私以外の誰かが怒りを買うのを避けたい。
「ありがとう。でも今は、噂の発信源を探したりせずに、放置しておいて」
「でも!」
「その気持ちだけで十分。みんなが信じてくれて、こうして親切にしてくれる友人もいるから大丈夫よ。今のところ害もないから、放置しておきましょう。もしも、これ以上噂の内容が酷くなったり、信じる人が出てくるようであれば、その時は私を助けてほしい」
「もちろんよ! わかった。エレノア様の望む通り、今は大人しくしておく」
「うん。それでお願い」
私は友人の手を握り、心から感謝の気持ちを伝えた。どんな噂が広まっても、私を信じて支えてくれる仲間がいる。それが何よりの励みになる。
アルフレッド王子たちがどんな手を打ってこようと、私は負けないわ。正々堂々と立ち向かっていけば、きっと真実は明らかになるはずだから。
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