第24話 覆らない結果 ※アルフレッド王子視点
やり直せと指示した試験の結果が出たらしい。これで正しい実力が判明するはずだと思っていた。なのに、俺が望んだ結果ではなかった。これも、何かの間違いだ。
再び、学園関係者を呼び出して事情を聞くことにした。
「この結果は、どういうことだ? ちゃんと正しい成績を出すと約束したはずだが」
俺は、怒りを隠さずに言った。
「それが、彼女の本当の実力ですよ。間違いありません」
学園長は冷静に答える。
「不正しているのでは? それとも、試験の難易度を簡単にしたんじゃないのか」
「試験の難易度は、指示された通りに上げました。これが、今回の試験問題です」
そう言って渡された資料に目を通す。意味がわからない。俺には難しすぎるだろ。これでは、正しい判断ができない。
「ヴァネッサ、これを見てくれ」
俺よりも優秀なヴァネッサに資料を渡した。彼女だったら、わかるだろう。だが、彼女は資料を見て表情を歪める。
「こんなの習ってないわよ! やっぱり、事前に答えを教えたんじゃないの!?」
ヴァネッサは怒りを露わにした。彼女でも理解できないような問題なのか。
「魔法学の基礎をしっかり学んでいれば、応用で解けるような問題ですよ。それに、彼女は歴戦の魔法師に師事しているんです。素晴らしい師匠のもとで日々腕を磨いているので、普通の生徒とは違います」
「ずるい! 私だって、ちゃんとした人に教えてもらったら実力は上がるはずよ! 才能があるから」
ヴァネッサの言うとおりだと思う。公爵家の令嬢と平民の魔法使いでは学べる環境が違う。その差は大きいだろう。
「失礼ながら、今回のヴァネッサ様の成績は酷かったです。最近、授業にも集中していないと聞いています。そのままだと、あっという間に置いていかれますよ」
学園長の言葉に、ヴァネッサは顔を真っ赤にした。
「おい、ヴァネッサを虐めてやるな。彼女だって必死に努力している!」
それは今回、関係ないだろう。ヴァネッサが授業に集中していないことと、今回の試験結果は別問題だ。学園長は論点をすり替えようとしている。
「……失礼しました」
学園長は心から謝っている様子もなく、形だけの謝罪をした。本当に失礼な奴だ。ヴァネッサが傷つくようなことを言って。わざわざ指摘するのも面倒だ。話し合いはもういいので、学園長たちを下がらせる。
「本当に、無礼な人たちでしたね」
「そうだな」
「前に言っていたように、解雇するんですか?」
「それは……。うーん」
それは、あの時に思いついて適当に言ったことだった。本当に入れ替えを行うのは色々と面倒そうだ。それりよも、今は。
「とにかく、エレノアを先にどうにかしないと」
「確かに、そうですね!」
エレノアについて、どうしようか。あの女がいると、俺達は安心できなくなった。ここまで順調だったのに。こんなふうに妨害してくるなんて、許せない。
対処法を考えなければ。二人で相談して、必ず道を見つけ出すつもりだ。
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