「ねえ、アルフレッド様。これ、どういうこと？」

　試験結果を手に、ヴァネッサが不満げに尋ねてきた。俺も結果を見て、疑問に思った。あのエレノアが成績トップだなんて、おかしいじゃないか。

　この前の授業で、ヴァネッサは色々と大変だったらしい。実は、そこそこの実力があると判明したエレノア。だとしても、やっぱり変だと思った。だって、この前まで平均的な成績だったはず。

「どういうことだろう？　エレノアがトップなんて確かにおかしいな」

「そうでしょう！　しかも、それだけじゃないんです。あの女の取り巻きが全員上位に来ていますよ。これはきっと、裏で不正しているに違いないわ」

　上位に名前が載っている子たちは、エレノアの取り巻きということをヴァネッサが教えてくれた。たしかにこれは、不自然だな。

「そのせいで、私の順位も落ちてる！　真面目にやっている私が馬鹿みたいでしょ。学園に言ってください。こんなの絶対に許せないわよ！」

「たしかに、それはズルいよな」

　ヴァネッサが言っていることが本当なのであれば、許せないだろう。もしかして、いじめを疑った仕返しに、こんなことをしているのかもしれない。これはちょっと、やりすぎだろう。学園まで協力しているのか。

　俺は王子としての立場から、この件を確かめる必要があると感じた。

「ちょっと、学園の奴らに聞いてみよう」

「お願いします、アルフレッド様！」

　俺は王子の権限を使い、学園関係者を呼び出して話を聞くことにした。

「おかしいじゃないか。これで間違いないと言うのか？」

「はい、間違いございません」

　今回の件について説明しに来た者たちを睨みながら問いただしたが、学園長は冷静に答える。

「前回、平均的な点数しか取っていない生徒が、急にトップなんてありえないだろ。ちゃんと、正しい成績に直すんだ」

「何度も言いますが、この成績に間違いはありませんよ」

「なるほど。認めないというのなら、こちらにも考えがあるぞ。学園関係者をクビにして、不正を行わない者たちに入れ替えることも可能なんだ」

　そう言うと、学園長は怯んだ。やはり、後ろめたい気持ちがあったのか。

「納得できないのであれば、再試験を行います」

「再試験か」

　学園長と一緒に来ていた先生が提案してきた。考える。もう一度確かめるために、試験を受けさせる。まあ、それでいいか。

「わかった。だが、今度は間違いないように、難易度の高い試験を受けさせろ。それで、実力もはっきりするはず」

「わかりました。それで、お願いします」

　こんな問題を起こしたんだから、通常の順位よりも下がってもらわないと納得できない。口には出さないが、そうなるようにしろと指示したら、学園長は頭を下げた。これで、望んだ結果が出るはず。

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