ルミナスお説教される
だが、ふわふわもふもふの羽毛に包まれたマリオンは、まだ17歳のこの年頃の男子とは思えないほど痩せてしまっている。
マリオンは研究学園では偽王子たちに食堂や売店の利用を阻害されて、低ランクながら冒険者活動で得た報酬で細々と自炊してこの9ヶ月を乗り切っていたのだ。
「ルミナスちゃん。こうなる前にどうしてマリオンを連れて逃げなかったの」
「ピゥ……」(ごめんなさい。でもね、マリオンが残るって言うから)
マリオンの眠りを妨げないようひそひそ声でルミナスの話を聞いてみると。
研究学園内で虐げられていたのは確かだが、設備は最新で魔導具の素材も使い放題。待遇以外の環境は贅沢でとても良かったという。
これはマリオン自身も言っていたことだ。
「ピューピュイッ」(周りの学生たちも変な人間ばっかりだったんだよ。マリオンが偽王子たちに虐められてるの見ても全然気にしないの。なのに実験室だとふつーにマリオンとお話ししてるの)
「研究者あるあるね……」
「自分たちに実害がなければ、わざわざ他人の境遇を改善しようなんて案外動かないものよねえ」
だが、それだけとも思えない。
「ルミナス。あなた、マリオンに魔法をかけたでしょ」
「ピャッ!?」(バレてる!?)
「まあ悪い魔法じゃないとは思うけど」
「グワウッ」(そんな子守りドラゴンの名を汚すようなことしません!)
知性と魔力高き
そのハイヒューマンは生物の適性を見抜くことに長けていて、
とはいえ、優秀な竜種だけあって
ハイヒューマンが認めたケースに限って仔竜か卵かを授けている。
マリオンのブルー男爵家は百年ほど前にハイヒューマンとの縁を得た。その縁で祖父のダリオンが頭を下げてマリオンを守る守護竜としてルミナスを譲り受けている。
「ピュイッピューアッ」(たくさん酷いことされても、大好きだった王子を諦められるまでは残るって言うんだもん。無理に逃げるなんてできなかったんだよーう)
ルミナスがせめて人間の従者だったなら手紙を書いたり、通信用の魔導具で本国の実家に連絡を取れたのだが……
残念ながら
そこでルミナスは、マリオンに軽く柔らかな癒しの魔法をかけた。
偽王子たちに酷い仕打ちを受けても、ルミナスのふわふわ、もふもふの羽毛に包まれると癒されて「まあいいか」な気分になってしまうように。
麻薬のような害はなかったが、
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