3話 選択を他人に委ねる覚悟
竜也 「お…… おう! あ でも買ったんじゃ無いんだよなぁ 」
俺「え? 買ってない? どういう事だよ話が見えないんだけど 」
竜也「いや…… 親父の知り合いがさVR機器の会社の人でさテスターってのを公開募集する前の不具合とかあるとやばいってのでさ身内にテストできる奴を探してたみたいで…… 親父からやってみるかとか言われて無料だしやってみたってわけなんだよ 」
俺「へ~ 凄いね~ でも納得だよ~ すぐ新作ゲームとか買っちゃう竜也がVR機器なんて買えないもんな~って 」
竜也「おいおい! 酷いなぁまぁそうだけどさ! 」
竜也の腕が 笑いながら遠慮なしに俺の首に伸びてきて引き寄せられる……
竜也「でさ…… よるはさ…… VR興味ある? 」
声色が少し真面目な音に変わる…
俺「うん……? うん あるけどどうしたのさ 」
竜也「実はさ VR機器のテスト機は2台あってさ1台は俺が 使ってる簡易型で昔ながらのコントローラーを持って頭にはめるような奴なんだけどさ…… もう一台が一体型っていってカプセルみたいな筒状の中に入って 匂い 温度 質感とかまで再現してくれるらしいんだよな 」
俺「らしいって? 竜也はそっちのテストはしないの? 」
竜也「いや 無理なんだわ 何かさ…… 気持ち悪いんだよ…… 普通の簡易型は全然いいんだけどさ…… 一体型は肌に合わないって言うかさ…… でもテストはしなきゃいけなくてさ~ 」
俺「その時点で不具合とかじゃ無いの? 」
竜也「いや 気持ち悪さを感じる場合もあるらしい…… だからこそ…… どう気持ち悪くなるのか どういう状況なのか事細かに報告しなきゃいけないんだけどさ どうしても耐えれないだよなぁ……あの気持ち悪さに…… 」
俺「うん それは辛いね…… 」
竜也の声色からは責任感と嫌悪感がせめぎあうようものを感じる。
竜也「でさ~ 自分が気持ち悪いって言ってるのを薦めるのは変だけどさ…… VR興味あったらカプセル型試して見ないか? よるが良いなら俺から親父経由で会社の人にも言うし 設置とかもよるの家にしてもらうようにするしよるが負担感じないようにもするしさ…… ここは俺を助けると思って…… なっ! 」
俺「正直…気持ち悪いって言ってるのを引き受けるのは嫌だけど、竜也が俺を頼ってくれてるのもあるし俺も興味が無いわけじゃないし俺でいいならやってみても良いよ」
竜也「まじか! 流石よるだよ~! まじサンキュ~ な! もうすぐ昼飯終わるし 詳しくは放課後にな! 」
さっきまでの辛そうな、竜也の声色は晴れやかな音に戻っていた。
竜也を気にしすぎて自分がちゃんと考えて選択をしていない事を気づかないまままた一つの歯車が動きだしていく……
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