第9話:星降る夜に包まれて。
「大げさ・・・私はどこにも行かないから」
「
「って言うかさ・・・音ちゃん、情熱的だから毎回プロポーズしてくれてる
みたいなんだけど・・・」
「僕はいつだって真剣だよ」
「分かってる・・・ありがとう」
そんなことを話してるとテーブルに美味しそうな料理が並んだ。
それに少し高めのワインと・・・。
「はい、お嬢さん・・・ワインは?」
「私、未成年だけど・・・」
「え?そうなの?」
「音ちゃんが夢の中でそうしたんでしょ、ロリコンだから・・・」
「ロリコンって・・・当たってるけど・・・」
「俺より年下がいいと思ったから、そうしただけだよ」
「で、17歳にしたの?」
「だね、セブンティーンか・・・いい響き・・・」
「なに、ニヤニヤしてんの・・・このスケベ」
その夜はふたりにとって、とっても素敵で楽しいひとときになった。
夕食が終わると、そこからホテルに向かう前に外へ出て少し歩いた。
レストランが建っている場所は、自然が多くてとっても環境がいい
ところだった。
途中にある煉瓦造りの橋の上で、俺は立ち止まった。
「ねえ、実は夢ちゃんプレゼントがあるんだけど・・」
「プレセント?・・・私に?」
俺は手に持っていた手提げの袋を夢ちゃんに差し出した。
「レストランへ行く間じゅう、手に持ってたね」
「気づいてた?」
「なにかな?って思ってた」
「いいから、開けてみて・・・喜んでくれるといいけど・・・」
「袋、持っててあげるから」
夢ちゃんは袋の中に入っていた包みを取り出すとその場で開けた。
中身はティフアニーのブルー ギフト。
ネックレスやイヤリングとか装飾品がセットになってるギフト。
「これ高かったんでしょ」
「君にはそれ以上の価値があるからね」
「だめだよ、こんないいモノ」
「僕たち恋人だよね」
「それはそうだけど・・・」
「もう受け取ってもらえる関係だと思うんだけど・・・」
「でも・・・」
「そのかわり、君から、そのプレゼントのお返しが欲しいんだけど・・・」
「なに?・・・お返しって?」
「キスして・・・」
「え?・・・こんなところで・・・」
「誰も見てないよ」
「ね、いいよね」
「今更?」
「キスなんて部屋にいる時、いつでもしてるじゃない」
「今、してほしいの・・・特別なキスを・・・このロマンチックな風景と
星降る夜に包まれて・・・」
「君のキスは僕にとっては煌めく星より貴重だから・・・」
「え〜、いつからそんな歯の浮いたこと言うようになったの・・・」
「さあ、いつからなんだろ?」
もうためらう理由などなかった。
俺の手がジゼルの腕を優しく引き寄せた。
そして橋の上で俺たちの影はひとつに重なった。
キスの余韻の後、俺はそのままジゼルを抱きしめた。
ジゼルはもう夢の中のキャラじゃないような気がした。
完全に人間として実体化してるんじゃないかとされ俺は思った。
「このまま、いつまでも抱いてたい・・・」
「いい匂いだ・・・ジゼルの匂いだ・・・俺の好きな匂い・・・夢の中の匂い」
「もしかしてこの匂いも、俺が選んだの?」
「うん・・・さっきのセリフはキモいけど匂いに関してはセンスあるって思うよ」
つづく。
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