第8話:今夜はジゼルを連れて。

俺はジゼルと外食とリッチがしたくてディナーとホテルを予約した。

そんなお金どこにあるんだよって話なんだけど、俺の趣味が大いに役にたって

くれた。

俺の趣味のひとつにラジコンカーがあるんだ。


ノーマルからカスタム化してオリジナルのデカールにオリジナルのメーカーの

ロゴ・・・ネットオークションで意外とこれがいい値で売れた。


ラジコンカーは一台20万で売れた。

20万じゃ足りないかもって思って念のためにもう一台売った。

二台で45万になった。


とりあえずそれだけあれば、大丈夫だろう。


今日は大学は休み・・・天気予報では今夜は綺麗な星が見えるって

言うからホテル付きレストランにジゼルを連れて出かけることにした。

ホテルとレストラン別々ってのも不便だと思ったから。

でもあくまでレストランのほうがメイン。


日中は夜に備えて特になにもせず、ふたりでイチャイチャして過ごした。

そして夕方、ジゼルを連れてタクシーでレストランへ・・・。

資金はたんまりあったから贅沢してタクシーを呼んだんだ。


「私、夢の中しか知らないからドキドキする」


「俺も・・・」


「なんでよ・・・なんで音ちゃんまでドキドキするの?」


「そりゃさ、今夜の最後に待ってるメインイベントのことを考えたらドキドキ

するでしょ・・・ワクワクもするけど・・・ 」


「あ〜・・・それはね、私だってドキドキする」


「そうなの?もういっぱいエッチしてるのに?」


「それはシュチュエーションが違うとね・・・」


「じゃ〜飯だけ食って帰る?」


「え〜・・・それはないでしょ?・・・ホテル予約してるんだよね」


「そのつもりでね・・・せっかくなんだから楽しまなきゃ・・・」


タクシーは指定したレストランの前に止まった。

その店は、「フロリレージュ」 というちょっとだけリッチなフランスレストラン。


フロリレージュは蔦の絡まった感じのいいオシャレなレストランだった。


俺たちはギャルソンに案内されてテーブルに向かい合わせに座った。


「たまにはいいね、ジゼルとこうしてふたりで夕食を食べに来るのも・・・」


「そうだね」


「君といつまでこうしていられるんだろ?」


「音ちゃんが私を忘れない限りずっと一緒だよ」

「俺が忘れない限りか・・・じゃ〜俺が死ぬまでだな・・・それなら安心かな」

「でもその代わり、私が音ちゃんのそばにいるかぎり音ちゃんは人間の彼女は

できないよ・・・それでもいいの?」


「そんなの関係ないよ・・・」

「今更だけどさ、改めて確認はしたことないけど僕たち恋人どうし・・・だよね・・・夢の中でだけじゃなくて」


「はっきりとそう言ってないけど、私はそう思ってる」


「もう俺はジゼルがいなくなったら生きていけない・・・夢も見ない」


「私だって同じだよ」


「そのくらい今は君に夢中になってるんだ」

「必要どころか僕の人生の中にジゼルがいないなんて、もう考えられ ないよ」


「大げさ・・・私はどこにも行かないから」


つづく。

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