第3話:ジゼルの存在。
「
「いや迷惑とかじゃないけど・・・びっくりしたから、また夢見てるみたいだし」
「たださ・・・ここは女子は入れちゃいけない決まりになってるから・・・」
「ジゼル・・・ヤバくなったら夢の中に帰ってくれる?」
「夢の中に帰るのは、音ちゃんは眠ってくれないと無理・・・昼間は帰れないから」
「あ、そうなんだ・・・俺の夢と連動してんだ」
「それに私、現実の世界に、音ちゃんの世界に興味はあるからね」
「ある意味、これはホラーだしミステリーだよな、まじで・・・」
「それでさ・・・俺、夢の中で君に勝手に名前つけちゃってるけど」
「気に入ってくれてる?・・・ジゼルって名前?」
「エリザベートとかクリスティーナって名前にしてくれたらよかったのに」
「そもそも私は音ちゃんが作り出したキャラだからね・・・どんな名前に
されても文句言えないけど・・・ジゼルってどこからもって来た名前なの?」
「ああ、それは海外のエロ雑誌から・・・」
「そんなことだろうなって思ってた」
「私のイメージもエッチい雜誌の女性を参考にしたんでしょ?」
「してない・・・とも言えない・・・」
「私は音ちゃんの中ではエロい女なんだね」
「名前だってエッチいお姉さんから取ったりしてるし・・・」
「あの、ジゼルって名前が気に入らなかったら変えようか?・・・日本語名
にするとか・・・」
「たとえば〜・・・恵子とか裕子とか美子とか真由美とか直美とか・・・」
「・・・・・・・ジゼルでいい」
「なんかさ・・もう何年も一緒にいるみたいな錯覚覚えるんだけど・・・」
「夢の中ではずっと一緒だからね・・・飽きるくらい・・・」
「飽きるってなんなんだよ・・・俺に直接会いたくて夢の中から来たんだろ?」
「それは音ちゃんが望んだからだよ・・・現実でも私に逢えたらな〜って思った
ことあるでしょ、何度も・・・それってもう執念だよ」
「俺は一度も君に夢の中から出てきてくれなんて頼んだ覚えないけど・・・」
「頼んでなくても現実でも会いたいって想いが強いとそれは夢の中にまで
影響するの」
「先入観とか執念とか願望とかって怖いな」
「だけどさ、家族と同居してなくてよかったよ、ジゼルのことをなんて説明
したらいいんだよって話だもんな。
起きたらベッドの中に夢の中の女がいたって説明したってお前はバカかって
言われるのがオチだもんな」
「下手すると俺は精神科行きになるよ」
「街でナンパしてこっそり連れて帰って来たって言えばいいじゃん、なんとでも
ごまかし聞くでしょ」
「そんなこと言えるかよ・・・そんなこと言ったら誘拐犯みたいの言われるよ」
「女を部屋に連れ込んでなにしてんだって言われるのに決まってるし・・・」
「今、そう言う状況じゃないんだから、シミュレーションしたってしょうがない
でしょ?」
「まあな・・・」
「でもさ、いきなり母ちゃんとか妹が来るかもしれないじゃないかよ」
「もしジゼルのことが、あいつらにバレたら俺は誤解されて軽蔑されて最低の
人間って一生思われるの・・・分かる?」
「私と生活してたら、いつかはバレるよ」
「そうだ・・・バレる前に先に家族に紹介しとくかな?」
「彼女ですって紹介するの?」
「そりゃそうだろ、俺が夢の中で作り出した俺の彼女だなんて真実を訴えても
誰が信じるんだよ」
「だね」
「君は俺の彼女・・・バレるまえに電話でもして、彼女ができたからって家に
知らせとく、それがいい」
「ジゼルが昼間でも夢の中に帰ることが出来たら言うことないんだけどな〜」
「音ちゃんの頭の中から私って存在が消えないかぎり無理だね」
「それは俺に死ねって言ってるのと同じだよ」
「それに、そんなもったいないことできるかよ・・・夢の中でジゼルを構築する
の苦労したんだぞ」
つづく。
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