第2話:悪夢から出てきた夢魔。

だから、とりあえずジゼルを起こすことにした。


「ジゼル・・・ジゼル起きろ!!」


ジゼルは面倒くさそうに目を覚ますと眩しそうな顔で俺を見た。


「・・・・もしかしてだけど・・・ジゼル?だよな」


「そうだよ・・・おはよう、おとちゃん・・・」


音ちゃんって・・・え?あ、そうか僕の名前知ってて当然か?。


ジゼルはたしかに俺の夢の中で俺が作り上げた理想の女の子。

夢魔って言っても架空のキャラだからサキュバスでもスクブスでもない。

オリジナリティー溢れるエロくて可愛いキャラだ。


「あ・・・おはよう・・・ジゼル」


僕は、布団をめくってしっかり彼女の頭から足まで見た。

案の定、まっぱだし・・・何も着てない・・・。

んんん、めちゃエロい・・・俺が描き出したキャラとはいえ・・・エロい。

まあ、俺が妄想して作ったんだから裸なのはしかたない。


「ジゼル・・・なんで夢の中のおまえが現実に現れちゃってるのかな?」


「うん、音ちゃんがいつも中途半端で夢から帰っちゃうから、しびれを

切らして私のほうから出てきちゃったの」


「うそ〜夢から出てくるなんてそんなことあるのか?・・・」

「絶対ありえないだろ?・・・こんなこと現実にあるわけないじゃん」

「夢の中の子が夢から出てきて僕の目の前にいるなんて・・・」

「たしかに俺は夢の中で君と会ってるし、君は俺の理想の子だけど・・・」


「だよね、私たち夢の中じゃ〜ラブラブな関係だもんね」


「にしてもそれって夢の中だけの話だろ?・・・ここは現実世界だぞ」


「そんなこと、掘り下げたって意味ないでしょ」

「そういうこと何百年考えてたって答えなんか出ないんだから無駄なことは

やめなさい」

「物事筋を通そうとするから矛盾が生まれるの・・・矛盾なんてどこにでも

転がってるんだから固定観念は捨てなさい」


「私が夢の中から出られたのはきっと音ちゃんの想いが強かったからだよ」

「音ちゃんの想いが募り募って私は夢の中から出ることができたんだと思うけど」

「とりあえず、そう言うことにしとけば?」


「いやいややっぱり夢だよ・・・ゆ・め・・・僕はまだ夢を見てるんだ」


「夢じゃないってば!!・・分かんない人ね」


「万が一にも、こんなことがあったとして、なにか魂胆があってこんなことかな?」

「僕をどうしようっての?」

「夢の中での俺へに恨み?・・・無理な要求したから?」

「僕をからかって楽しんでるのか?」


「被害妄想・・・からかったりしてないってば」


「もし夢なら、覚めてくれ・・・」


「まだ言ってる・・・これは夢なんかじゃなくて現実なの、早く受け入れなさいよ」

「ここにいる私を否定するなんて贅沢だよ・・・自分の理想の女が目の前にいる

って言うのに・・・面倒くさい男」


「言っとくけど、私夢の中には帰らないから、この部屋で音ちゃんと暮らすからね」


「待て待て・・・それはダメだって、たちまちこの共同アパート女人禁制なんだぞ」


つづく。

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