おねえちゃんとお出かけしました 3
(そよそよと優しい風が吹き、木々が小さく鳴る)
(二人は喫茶店のテラス席のテーブルを挟んで向かい合っている)
「で、私は小学生になって……」
(静かな声で懐かしそうに話す)
「今もそうだけど、私、本当に人見知りで。自分から元気に話しかけるタイプじゃなくて友達は少なくてさ」
「本が友達、みたいな感じになってることが多くてさ」
「小学校ではよく図書室に行って、いろいろな本を読んだなあ」
「本を読むことは新しい世界の冒険みたいで……。国語の授業も楽しかったなあ」
「うふふ。小学生の頃も、おばさんに連れられて君が遊びに来るのが楽しみだったよ。私もお母さんに連れられて君のお家に遊びに行ったよね」
「小学生になってからもいろいろあったなあ」
「最初のうちはお家でおままごとしていたりもしたけど、君も少し大きくなってきていて、公園で探検ごっこしたり」
「あー、そう言えばテレビに出てた女の人の物真似して遊んだよね」
「何かを喋る度に、言葉の最後でこんな風に親指をぐって立てて突き出して」
(実際にやって見せる)
「そうだ。一緒に本を読んで、自分たちでも絵本を作ったりしたよね。覚えてる?」
「そうそう。絵本。読むだけじゃなくて、自分たちでも作ったの。私たち二人の手作り絵本、覚えてるよね」
「私のお部屋でさ、二人で一枚一枚紙を折って、色鉛筆をもって、私たち二人で描いた絵本」
「動物さんたちが冒険するお話。小さい頃に二人で作った素敵な手作り絵本」
「君も私も本当に無邪気でさ、『次はどんなお話を描こうか?』て、笑って……」
「うふふ。それも私たちの思い出の1ページ」
「実は、あの時作った絵本、今も私のお部屋にあるの」
「あの絵本、見ていると本当に癒されるんだー。巣ごもりしている間、よく眺めてたよ」
「私の大切な思い出の宝物。今度見に来る?」
「うふふ。自己表現することや、本を作ることに興味を持つようになったのは、あの頃なのかな?」
「ねえ、また絵本作ろうよ。誰かの想いを形にする本作りのお仕事も楽しいけど、私たちだけの絵本作りも、きっと楽しい」
「後でさ、絵本を手作りするキット、買いに行こうよ」
「あの時の絵本作りの続きをするの。素敵でしょ?」
「ねえ、どんなお話を描こうか? 新作はどんな絵本にしようか?」
「次は……。フルートを吹く女の子と、男の子が一緒のお家で楽しく遊ぶお話はどうかな?」
「あ、フルートと言えば、中学や高校の時の話」
(思い出した風に言う)
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