おねえちゃんとお出かけしました 1

(青い空。白い雲)

(そよそよと優しい風が吹き、木々が小さく鳴る)


(「おねえちゃん」は既に喫茶店のテラス席のテーブルについて待っている)


「おはよー! 待ってたよ! ほら、座って座って!」

(椅子を引いて座る)


「今日は晴れたねー。いい感じに風が吹いてるし。天気予報だと今日はそんなに暑くならなそう。良かった良かった」

(空を見上げて、また視線を戻す)


「うふふ。いいお店でしょ? テラス席で眺めも良くて。このお店、朝から開いてるんだよー」


「社会人は事前の下調べが大切なのです! 今日のデートのためにしっかり調べておきました! エッヘン! そして、ここはおねえちゃんの奢りです! エッヘン!」

(得意気に胸を張る)


「何を注文する? え、コーヒー? それだけでいいの? 遠慮深いなー」


「あ、あの。す、すみません。追加で注文をお願いします……」

(ウェイトレスに声をかける。少し気の弱い声)


「こほん。ところで、今日のファッションはどうかな? お洒落さ、涼しさ、歩きやすさを考えてこうなりました! どうかな?」

(咳払いをして声の調子が戻る。着ているものを見せる)


「朝早くから今日は何を着て行こうかあれこれ考えてね、これなら良しって」


「それからメイクも見てよー。今日はかなり気合入れてメイクしたんだから!」


「それでそれで。今日はいい日になりそう、そんなことを思いながら街を歩いて来たの」


「それはもう足取りも軽く。心は既に君とのデートに飛んで。この待ち合わせのお店への足が弾んで」

(楽しそうに話す)


「林を抜ける風、髪がふわりと舞う。清々しい朝」

(うっとりとした声で語り出す)


「このお店に入って、わくわくと君を待つの。今日はどんなお喋りをしようかな、そんなことを思いながら」


「そうしていると心が高まって来るの。時計を見ながら君を待つのも楽しい」


「うふふ。というわけで、君も来たことだし本日のデート、スタートかな?」

(じっと見つめて来る)


「今日はどうする? 私なりにいくつかプランを用意したんだけど……。でも、私としてはただ君と話すだけでも十分楽しいし。君、来たばかりだし、少しここで話そうか」


「今日は新しい思い出、たくさん作ろうね。君と一緒なら何だって楽しい。新緑やお花が綺麗だから公園を歩いて一緒に写真撮るのも楽しそう。ショッピングもいいよね」


「今はまだいいけど、外を歩き回れるのもまだそんなに暑くない今のうちだよねー。もう少し季節が進んだら暑くなっちゃう」

(雑談に入る)


「去年の夏はすごく暑かったよねー。インターネットやテレビの受け売りだけど、今年の夏も暑くなりそうだよー」


「私が小学3年の夏、すごく暑くて大騒ぎになったの覚えてるけど、最近はそういう暑さが普通になってる気がするなー」


「まあ、お互い暑さに気をつけて逞しく生きていきましょう!」


「そうだ。夏と言えば新しいお札が出るんだよね。渋沢栄一さん、津田梅子さん、北里柴三郎さん。私たちのところにはいつ来るかなー」


「あと、夏と言えばパリのあれ。今から楽しみだなー。いろいろ言われることもあるけど、世界中から来た人たちが競技に臨み、それぞれの可能性や限界に挑む、それはやっぱり素敵なことだと思うんだよー」


「うふふ。君、こういうスケールの大きい話、好きでしょ?」


「さすがにパリまで観に行くことはできないけど、日本で一緒に観戦しようよ。そう、週末あたりに二人で」


「ねえねえ。私のお部屋に来る? それとも君のお部屋に行こうか? どっちで観る?」


「ううん、両方。日によって変えてもいいかな」


「気が早い? いいじゃないかー。私、すごく楽しみなんだよー。君と一緒に観戦するの」


「あ、コーヒー来たよ」

(ウェイトレスが向かって来るのに気づく)


(注文したコーヒーがテーブルに届く)

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