この国を守る結界
この国は8つのコアからなる結界によって守られている。
結界の存在により、人間に害をもたらす魔物や疫病に発展する瘴気が阻まれているおかげで国内の平和と安全が保たれている。
元々として魔物と呼ばれるものは存在していなかったが、過去一部の地域にて瘴気の大量発生があり、その地域に生息していた魔動植物が狂暴化して人間を襲った事で魔物と呼ばれ危険視されることとなった。
それからも瘴気の広がりは留まることがなく、浄化の力が追い付かなくなってしまいその対応策のために、8つのコアを使った結界装置で人間領を囲ったことが始まりである。
魔王軍と人間の対立もそこから始まり、魔王軍は瘴気の広がりに合わせて人間領を侵略、領土の拡大を行ってきたのだった。
年々対立の溝が深まるなか、直近の「コア盗奪事件」がキッカケとなりコアと人間領の奪還を目的としたパーティが組まれ、打倒魔王軍の動きとなった。
結界のコアが失われた今、かろうじて国の術者のおかげで結界はまだ保たれているが、効果が掻き消えるのは時間の問題だろう。
「だから、魔王軍を倒すのは絶対。なんだが…」
「情報屋が、この話を知らないとは思えないね…」
「ま、まぁでも、悪い人ではありませんでした。魔王軍に関してのことも聞けましたし…」
「そうだぜ。しかもこれから先のルートも教えてくれた。もちろん鵜呑みにする訳じゃないが参考にはなるだろ。」
「…そうだな。今はとにかく戦略会議だ。」
酒屋のテーブルのひとつを借り、勇者は地図を広げた。
トン、と現在地に指を置く。
「今がここで、俺たちが出発するのがここだ。ゲートを通って朝焼けの森へ入る。」
「朝焼けの森…魔物が出ると言われ始めた場所ですね。それに、魔王軍幹部の1人とその軍隊がそこを守っているとか。」
「魔物と魔王軍か……」
「魔物は力でどうにかなるとして、幹部と軍隊だな…」
「森、だからな。罠が既に仕掛けられているかもしれない。……」
先程ピエロに言われた、軍隊をどう攻略していくか、について4人で戦略を練っていく。
時折意見がぶつかりながらも1時間ほど経つと、大体の案が纏まった。
「じゃあまずは斥候を向かわせよう。そこから軍隊の規模や幹部の特徴を掴めたら掴む。」
「最初は魔導士だよりになっちまうけど、それが確実だろうね。大丈夫?」
「はい…!魔力感知ラインを高めに設定しておきます!何か術がかけられていたらすぐにわかるように!」
「最初はそれで、次はオレの盾影兵団の出番だな。小隊ごとに対軍隊陣形をとらせて周りを警戒させておく。何かあったら真っ先に応戦するぜ。」
「ああ。幹部には俺が優先的に攻撃を仕掛ける。アーチャー、悪いが俺の後ろで__」
「援護射撃、だね?承知した!」
「、助かるよ。じゃあ、俺たちパーティ4人は常に幹部を囲むことに集中しよう。周りの軍隊は影兵団に任せる。いいか?」
うん、と全員が頷いた。
上手くいく保証はないがとにかく作戦を実行して臨機応変に動くしかない。
では行こうと酒屋を後にして、噴水広場を通る。
するとあっという間に孤児院の子供たちに囲まれてしまった。
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