ゲームオーバー
「ん〜じゃあ、やろうか。せっかく魔導士も消耗してるしぃ…」
「!」
「影兵ッ!」
「お、そう来るか。じゃあこっちも。」
グロウがゆらりと動き出す。
慌てて先頭の影兵を差し向けると咄嗟に防壁を張られ、そしてグロウは声を上げた。
「第1小隊!プランBだ!第2小隊はそのまま勇者どもの相手をしてやれ!…そっちはその数で戦いに来たのか?傑作だな!今から戦争が始まるってのに!!」
「!!」
その言葉に影兵を慌てて増産させる。
パーティは即座に迎え撃つ陣形をとったが、力の差は明らかだった。
グロウは魔術特化のようだから、魔術ゼロの物理攻撃には弱いかもしれない。
けれどそこまで近づくことすら現時点では無理だった。
それに、勇者たちはこの戦いを甘く見ていたのかもしれない。もちろん覚悟はしてきたが、戦争だと言われるとは思わなかった。
小隊の動かし方や戦略の立て方など確実にグロウに分がある。
魔王軍の部隊は戦争に慣れている動きで、軍隊としてよく訓練されているのがわかる。
無闇矢鱈に突っ込んでくるのではなく、こちらが不利になるように計算された動きだ。
勇者たちはこんなに序盤で魔王軍との力の差を感じるとは思わなかった。
「!勇者!誘導されている!」
「わかってる!どうせ開けた場所しかないんだ!森の中ではこちらが絶対的に不利だ!」
「じゃあ誘導にノるんだな!?おおおお!盾影兵団!行くぞ!!」
いつの間にかグロウの姿すら見失っていて、パーティは森の中で乱戦状態だった。
森の中は当たり前だが足場が悪く、慣れていないと大きく動きにくい。
グロウの軍隊は慣れているのか難なく追い詰めてくるのがパーティにとっては辛かった。だから開けた場所へ行った方が存分に力を発揮出来る。
この誘導にはノッたほうが戦況が有利に動く。
盾影兵団を先頭に4人は森をひた走った。
しかし、4人を待ち構えていたのは開けた場所で迎え撃つ弓兵軍隊。その前には魔術弓を持ったグロウがゆうゆうと弓を構えている。
弓兵が先頭の盾影兵団に弓を引き、いとも簡単に盾陣形を崩した。
隙間が開く。
シールダーが必死の形相で盾を構え勇者の前へと躍り出る、が。
「ハイ、おれナイスエイム!」
隙間を縫って勇者の胸に矢が突き刺さる。
魔術で強化されたそれは一撃で勇者を行動不能にさせた。
リーダーを失ったパーティは一気に瓦解し、彼らはグロウに敗北した。
「はぁ〜…よかった。これでまだ皆といられる。サンセにも褒められるかな…」
グロウが満面の笑みでホッと息を吐いたのを、勇者は黒になりゆく視界で見ていた。
ゲームオーバー 『射抜かれた覚悟』
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