第5話


私がこれ以上なにも聞きたくないことを察してたのかしばらく沈黙が続いた。

すると夏帆のお母さんが私の手を握り「さくらちゃんよく聞いて」とゆっくりとした口調でそう言った。まるで私を宥め出すように。

でも私はなにも聞きたくなかった。夏帆がどうなるのかを知るのが怖かった。だから首を横に振った。

そんな私を見た夏帆のお母さんは何も言わずに握ってた手をより強く、ぎゅっと握った。

その瞬間ここからは逃げれないのだと察して、まるで小さい子供がいじけているかのように私は顔を下に向けていた。

夏帆のお母さんはそのまま手を握ったまま、淡々と「さくらちゃん、簡潔に言うね…夏帆はもう目を覚さないかもしれない…」

夏帆のお母さんは言葉を言い終わる頃には肩を振るわせながら泣いていた。

私はこの状況で「そうですか。」としか言えなかった。心では癇癪をおこしているように悲しいとか寂しい、なんなら怒りという様々な感情がぐちゃぐちゃになっているなか頭はひどく冷静でむしろなにも考えていなかった。

あまりにも頭が真っ白になった私はどうやって帰ってきたかも覚えてなく気がついたら自分の部屋いた。そして着替えてることもなく現実逃避するかのように眠りにつき、また夢を見る。


ここは道?私は道路の真ん中に立っていた。どこまで続いているのかわからないただ真っ直ぐな道。

ここを歩いていけばどこかに辿り着くのか?辿り着くどこかとはいったいどこなのだろうか?

そんなことを思いながらあたりを見渡していると後ろから「さくら」と私の名前を呼ばれた。

振り返ってみるともう2度と名前を呼んでくれることなんてないと思っていた夏帆だった。

私は泣きながら夏帆の方を走って行くと同時に頭で理解してしまった。「あー、これは夢なんだ。」と

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夢心地 酔生夢死 @suiseimusi

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